気をつけるべき「カモ期」

投資を始めたが、勉強をせずに金融機関頼み

 定年前後の5年間を山中さんは「カモ期」と呼ぶ。

「退職金を見越して金融機関などから資産運用の案内が届き、投資経験がゼロなのにFXや仮想通貨に手を出してしまう。それでも、なぜか当人は失敗しないと思っているんです」

 窓口ですすめられたから「いい商品」と思い込むのは禁物だ。担当者には売らなくてはいけない商品のノルマがあり、手数料が高い商品を紹介している可能性も。

「50代のうちに効率的にお金を増やすのに資産運用は不可欠ですが、投資は自己責任。担当者に商品をすすめられたらいったん持ち帰り、必ず調べて『この商品なら購入してもいい』と思えるものを選ぶべきです」

若いころに加入した保険サービスを変えていない

保険はあくまで“保障”のためのもの。昔と違って貯蓄型の保険商品でも運用利回りが大幅に低下しており、資産形成にはなりません。複数の保険に入っている人は見直しを考えて

 夫婦2人になったら手厚い保障は不要だ。

「子どもが独立したら死亡保険は解約したほうが、有意義にお金を使えるかもしれません。入るのなら『掛け捨て』を中心に再検討を」

何の準備もせずに熟年離婚をする

 今、日本の離婚件数のうち2割超が熟年離婚だ。

「実は夫婦それぞれが貧困化するリスクが高いんです。妻は財産分与で退職金などをもらえたとしても、年金分割で受け取れるのは婚姻期間中の厚生年金の2分の1のみ。基礎年金を足しても、生活費として不足です」

 夫と死別後は、夫の厚生年金の75%相当の厚生年金が受け取れる。離婚は、死別より厚生年金が少なくなるのだ。

「それぞれの事情があっての離婚でしょうが、どうしてもしたいなら見切り発車は禁物。年金事務所では50歳以上なら離婚分割をした場合の見込み額を教えてくれるので、相談するのも手」