目次
Page 1
ー 王騎を演じている大沢たかお
Page 2
ー 寝られないぐらい、しんどくなる
Page 3
ー もし、30年前に戻れたとしたら

 春秋戦国時代の中国。戦災孤児の信(山崎賢人)と、後の始皇帝となる若き王・嬴政(吉沢亮)が、史上初の中華統一を目指す歴史スぺクタクル映画『キングダム』。原作漫画の累計発行部数は1億部を突破。実写映画は3作が'19年、'22年、'23年に公開され、いずれも50億円を超える大ヒットシリーズに。

王騎を演じている大沢たかお

大沢たかお(56)撮影/矢島泰輔
大沢たかお(56)撮影/矢島泰輔

 秦と趙による“馬陽の戦い”の後半が描かれる『キングダム 大将軍の帰還』が7月12日、ついに公開される。

 「撮影をしてから、わりと時間がたっていて。そういう意味では一観客というわけにはいかないまでも、比較的冷静に完成作を見られました。最終章ならではのすごみがスクリーンからあふれ出ている。すごく感情移入し、堪能しました」

 とは秦の総大将で、圧倒的人気の王騎を演じている大沢たかお。強くて、器が大きくて、懐が深い。原作ファンを裏切らない王騎像を作るべく、約20キロ体重を増やして撮影に臨んだ。

 「人が生きること、夢を目指すこと、はい上がること……。そんな熱いエネルギーがやっぱり『キングダム』の魅力なんじゃないかなと思う。全員が自由の夢や目的のために、なりふり構わず懸命に生きている。エネルギーを出しにくい今の世の中だからこそ、胸を打つのかな」

 この人以外に、誰があの王騎を体現できただろう? 唯一無二のハマり役だ。

 「ハマり役ではないでしょ? あの役は、はめられてないよ(笑)。僕じゃない人がやったら、その人なりの王騎将軍をやるだろうし。基本的にこういうのって、本当に正解がなくて。特にああいう、ちょっと人間離れしたキャラクターは。逆に言うと、ほぼ漫画だから。それをやるっていうのは、やっぱり正解がないですよ。どこをどう抽出するのか。どこを大事にして、どこを大事にしないのか。そういう選択が必要になってくる中で、たまたま僕は僕なりの選択をした。別のところを切り取っていれば、また別の王騎将軍になっていただろうし」

 膨大な原作の中から抽出された台本、身にまとう鎧など、製作陣のそれぞれが“これだけは絶対!”を持ち寄った結果があの形なのだと語る。

 「そういう意味では僕というよりも、みんなで作ったキャラクター。逆に言うと、現場の誰もが“みんな大好き王騎将軍”って言っていたから、そうじゃなきゃいけない。誰にとっても“みんな大好き王騎将軍”であってほしいと僕も思うし、そのためにみんなで頭をひねったキャラクターなんですよね」