「大丈夫、けっこうエンタメで楽しいよ」
日本でいうところの「坂本龍馬」
舞台『破門フェデリコ~くたばれ!十字軍~』で、すべてにおいて規格外の“神聖ローマ帝国皇帝フェデリコ”を演じる佐々木蔵之介(56)。難しそうなテーマの舞台だが、彼の言葉にがぜん興味が湧いてくる。
神聖ローマ帝国皇帝のフェデリコ2世は、ローマ教皇に3度破門されながらも、長く続いたキリスト教とイスラムの戦争を10年間の期間限定ではあるが、無血開城で止めた天才だ。
「僕は、王様や殿様、皇帝を多く演じているほうだと思います。玉座をとってしまえばその後はさらに領土が、権力が、富が欲しいと欲に溺れ崩れていく人物が多い。
今回演じるフェデリコに関しては、土地も権力もあるし、金もある人間が“時代を変えよう、平和をつかみ取ろう”と動いた。
虐げられた労働者階級が革命を起こして時代を変えるのではなく、“リーダーが自らやらなきゃ!”と。そういう人なんですよね。それは僕が今まで演じてきた人物にはない部分で、覚悟のあるリーダーだなと思っています」
日本ではあまり知られていないフェデリコだが、イタリアでは有名な人物らしい。
「日本でいうところの坂本龍馬のような人物だそうで、イタリアでは何度かドラマになったりもしているそうです。でも、僕たちは知らないので“そんな面白い人がいるのか。じゃあちょっと作品にしてみよう”と、今回の舞台を製作することになりました。ぶっ飛んだ規格外な皇帝を演じられたらな、と思っています」
文通で敵の心を動かしたフェデリコ。手紙はめったに書かないという佐々木にとって、身近な手紙はファンレターだろうか。
「ファンレターには力をいただいています。“面白かったです”とか“元気になりました”とか、そういう言葉をいただけると励みになりますよね。こちらこそ、そんなふうに言っていただいてありがとうございます、という気持ちです」