節約は“自分軸”で考える
“自分を豊かにする節約”をするためには、どんな局面でも誰かのマネではなく、自分がどんな生活を送りたいかと向き合うこと。
「私は美味しくて健康になれるものを食べたいという思いがあるので、そのために何を買って、どんなふうに食べたいかを第一に考えます。それを予算内で叶えるために試行錯誤することが節約の醍醐味かなと思うのです」
紫苑さんの軸からは外れている加工食品だが、調理をなるべく時短で済ませることが豊かな生活につながると考えるならば、その人にとって加工食品もアリだ。
「あくまでも“自分にとってどうか”の視点を大切に。誰かにとって不要なものでも、自分にとって必要なものかもしれません。他人軸で決めてしまうと、節約も嫌になりますし、たとえ続いたとしても幸福感は生まれないと思います。それは、衣食住のどんな場面でも同じです」
“節約生活をしてよかった”と、はっきりと語る紫苑さん。年金暮らしの節約は、ともすれば老後にガマンと侘(わび)しさをもたらしてしまうのではと懸念するが、むしろ節約をしたことでより豊かな70代を過ごしていると話す。
「まず一番に、心身の健康を維持できているのは、今の食生活のおかげだと思っています。それに、節約生活にかなう食材を選ぶために、それまであまり選ばなかった食材を食べるようになったり、パンを手作りするようになるなど、この年齢になって新たな食の楽しみを知りました。
確かに年金内に出費を抑えなければ生活は破綻してしまうので、そこはシビアな問題。でも、それは自分にとって幸せな暮らしに近づくために無駄をそぎ落とす行動だと考えれば前向きになれます。これからも変化を加えながら今のプチプラ生活を続けていきたいと思います」
教えてくれたのは……紫苑さん●月5万円の年金生活をつづったブログ「ひとり紫苑・プチプラ快適な日々を工夫」が話題に。近著に『73歳、月5万円でますます快適!「ちょうどいい」を自分で創る ごきげんプチプラ生活』(廣済堂出版)
取材・文/河端直子 画像提供/紫苑さんブログより(プロフィール、定番食材を除く)