国の制度を利用しないのはもったいない

 八木さんは先日、難関のFP1級の学科試験に合格、9月にはその実技試験に挑む。その勉強の過程で世間的にはあまり知られていないお得な制度を知ったという。それが「労災保険の特別加入制度」。

「会社員(労働者)が対象だった労災が、芸人や一人親方でも加入できて、この11月からはフリーランスの人も対象になるんです。仕事で家を出て帰るまでの事故が全部保障されるんですよ」

 八木さん自身も、早速お世話になった。

「仕事でゲンゴロウを食べて喉に詰まらせ病院に行った際、労災が適用されて治療費がかからなかったんです。家族がいる場合は、亡くなったら遺族が保障されるので対象の人は入ったほうがいいです

 他にも、個人型確定拠出年金(iDeCo)や、個人事業主なら小規模企業共済もおすすめだと教えてくれた。

「国の制度は使ったほうがよくて、それでフォローできないところを民間の保険でサポートするのがいい。保険は、意外なことが適用されることもあるので細部まで目を通しましょう」

 さまざまな情報があふれているからこそ、それをどう見極めるかも大切。

「例えばNISAは、“税制が優遇されるから”“周りがやってるから”で始めるのはリスクだと思っていて。それよりも“自分に適しているか”“これから上がるのか下がるのか”などをしっかり意識して本人が納得してやるのが大事だと思います」

 このご時世を乗り切る秘訣を伺うと、「物価高だろうが工夫はいくらでもできる」とキッパリ。

「メーカーをかえて安いものを買うとか、なんぼ家賃を上げられても高いところに住まなきゃいいんだし。僕も家族は住み慣れた大阪におり、東京は働くところと割り切って狭い家を借りてるんです。いまはFaceTimeとかでオンラインでつなぎっぱなしにできるから家族と離れてる気もしないし」

 見栄を張らずに「お金がない」と言ってしまえば生きるのがラクになると語る。

「高いゾーンに入るとずっと高いゾーンにいなきゃと思うんですよね。年収1000万円の人なら、お父さんがゴルフ行くのに軽自動車じゃ行きにくいからある程度の車に乗る、お店もワンランク上になって、旅行だっていいホテルに……ってぜんぜんお金が残らない。自分をどうよく見せるかとか、負けないぞって張り合うんじゃなくて、自ら安いゾーンにいかないと。もっと言うとそのレースから降りたほうがいいんです

八木真澄 撮影/矢島泰輔
八木真澄 撮影/矢島泰輔
【写真】サバンナ八木、著書を手に語る姿