「たぶん、子どもの本質は今も昔も変わっていないと思います。問題は、情報を簡単に手に入れることのできるスマホなとのデバイスを使いこなす能力があるかないかではないでしょうか。

 コミュニケーション能力がある子どもなら、スマホをうまく使いこなせるでしょう。でもそういった土台がない子どもが使ったら、スマホの中で遊びも友達も完結して、その中の世界がすべてになってしまう。依存症ですよね」

“子どもファースト”の弊害

 スマホはひとつの道具でしかない、と前置きして石井さんは親がするべきことをこう話す。

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「学校へ行って友達をつくって、その中で遊んで……。ということは昔はある意味、強制的というか、ごく普通のことで、その中で子どもたちのコミュニケーション能力が培われてきました。でも今は“多様性”や“子どもファースト”という言葉で子どもの自主性に任せるという方針になってしまった。

 そうなると子どもがこれまで自然に身につけてきたコミュニケーション能力を、大人が教えなければいけないんです。スマホは与えておけばいいものではなく、もともと持っている能力を伸ばすツール。なので、ある程度親や学校がベースになる力をきちんと育てなくてはいけない。でも結局のところ、親も先生もどうしていいのかわからないのかもしれません

 スマホ育児が悪い、とは言わないと石井さん。ただその使い方を誤ると、子どもの将来にデメリットが生じると警鐘を鳴らす。スマホやITといったデジタルツールがなくてはならない現代、結局は使う人間の能力によって毒にも薬にもなる─。