意識集中とやや強めの筋トレがカギに
高強度の筋トレを行ううえでポイントとなるのが“意識”。
「動かしている筋肉に全神経を集中するんです。一般的な筋トレは筋肉の増強や肥大化に重きを置きますが、本山式では、筋肉へ意識を集中するために器具や重量は使わず自重のみで行い、筋肉で生じる刺激(痛み)を自覚しやすくしています」
まずは自分の感覚神経の状態をセルフチェック法で確認。痛みを感じにくかった人は感覚神経の働きが鈍っている可能性が高い。
「自分は鍛えているから体力があるし若い」と思っている人でも、漠然とした運動では脳への効果は期待できず、むしろその“疲れ知らず”の体力が、脳の衰えのサインかもしれないのだ。
でも諦めることなかれ。20年以上にわたる運動指導で、1000人以上のMCIや認知症患者が健常者レベルに回復し、その後の再発もしていないという。
7年前に主治医から“進行性の若年性アルツハイマーで2~3年で寝たきりになる”と診断され、本山さんのもとを訪れた67歳の女性もそのひとり。
「以前は、頭の中が真綿でいっぱいで、その中に空いた、針ほどの穴から外を見ている感覚で何も覚えられず、考えられなかったといいます。その間、心配した家族に連れられて行った海外旅行の記憶もまったくないとか。
それが筋トレを続けた結果、3年後には完全に治って仕事にも復帰、今でもミスなく、仕事で必要なクライアントの住所も一度で覚えてしまうほどだそうです」
MCIと自覚できずに放置すれば、6年でほぼ8割が認知症になるといわれる。筋トレに加えて、階段や坂を上るときは太ももに意識を集中するなど、普段から強い負荷がかかる場面で、使っている筋肉に集中するクセをつけることも効果的だ。
「階段を上りながら太ももの痛みや刺激を感じられるようになってきたら、脳と太ももの感覚神経がつながってきたサイン。継続して脳を活性化しましょう」