目次
Page 1
ー 生後すぐ告げられた重度の障がい
Page 2
ー 成長してから癇癪が激しく
Page 3
ー 心無い言葉に負けず発信を続けたい

先天性の障がいがある娘・このはさん(21)との日々を、YouTube「このらぶチャンネル」で配信している、このはさんのご両親。生まれてすぐに、重度の知的障がいや成長の遅れなどがある、「コルネリア・デランゲ症候群」と診断された。ネガティブな意見も届くなか、動画を発信し続ける理由をご両親に聞いた。

「YouTubeの再生回数が一気に伸びたのが、特別支援学校の卒業式の朝を撮影した動画。当時18歳の娘が癇癪を起こしてしまった様子に大きな反響が来ました」

生後すぐ告げられた重度の障がい

乳児のころの、このはさん。両眉がつながっているのは病気の症状
乳児のころの、このはさん。両眉がつながっているのは病気の症状

 そう話すのは、YouTubeで長女このはさん(21)の日常を発信する「このらぶチャンネル」の運営者であるお母さん(47)。このはさんは1万~3万人に1人の頻度で発症

するとされる、遺伝性疾患の「コルネリア・デランゲ症候群」で、身長130cmの小柄な身体や両眉のつながった顔立ちも症状のひとつ。ほかにも、知的障がいや難聴などの疾患がある病気で、基本的な治療法はない。

 卒業式の動画は、睡眠障害もあるこのはさんが、眠気でイライラしながら登校準備する様子を収めたもの。床をバンバン蹴ったり、叫びながら歩き回っていたが、いらだちが収まらず、突然手元のツナ缶を投げつけ、飛び散った中身と汁が撮影していたお父さん(48)に降りかかる。そんな中でも優しく対応する両親の姿が印象的だ。

 動画は210万回以上再生され、《親の愛情と責任感が痛いほど伝わる》《尊敬します》など、1200件超のコメントが並ぶ。

「重度知的障がいの娘はしゃべれないので、不機嫌になると人や物に当たったり、自傷行為をしてしまう。穏やかな日も多いのですが、この日は機嫌が悪くて。でも、障がいのある家族や子どもを持つ人に何か参考になることがあればと、ありのままを公開しました」(お母さん、以下同)

 このはさんは、誕生前から波乱の連続だった。妊娠7か月の検診で横隔膜ヘルニアと判明。

「赤ちゃんの横隔膜に穴が開いていて、出産後に手術が必要だと。夫も私も手術すれば治ると信じていました」

 妊娠9か月のときに帝王切開で出産。動けないお母さんに代わり、お父さんがこのはさんの手術を見守った。

「危険な状態だったので、心肺機能を補う小児用エクモをつけて救命して、人工横隔膜を入れる手術をしました。生死の境をさまよっていて、僕は毎日のように神社へ通って、神頼みすることしかできなかった」(お父さん)

 手術は無事終わったが、生後51日目にコルネリア・デランゲ症候群と告知される。

「ショックでしたが、普通の子より手足が小さくて毛深いなと違和感があり、その謎が解けて安心したんです。でも育てていけるか不安で、先生の前で号泣しちゃって」(お母さん)

 退院後4か月はコルネリア・デランゲ症候群に起因する胃食道逆流症を発症し、予断を許さない状態が続いた。そんな中で、このはさんが吐血。

「人工横隔膜に腸が入り込んで腸閉塞になっていて。胃食道逆流症も治すために12時間に及ぶ手術をしました」(お父さん)

 5か月の入院生活だったが、“仲間”との出会いが希望をもたらした。

「大学病院には同じように難しい手術をした子たちがいて、そのお母さんたちに正直な気持ちを吐き出せたことで救われました。その後もママ仲間に支えられ、娘の障がいを徐々に受け入れられるように」(お母さん、以下同)