だし取り後の昆布を捨てちゃダメ!

 代謝が落ちて太りやすくなり、生活習慣病も気になる中高年世代にとって、昆布はまさに救世主!? では昆布のどの成分がこれらの効果をもたらすのだろうか?

「結論からいうと食物繊維です。昆布には3種類の食物繊維が含まれていますが、特に注目すべきなのがアルギン酸。これは水に溶けやすいの一種で、昆布のネバネバした食感をもたらすもととなっています」

 アルギン酸はワカメやノリなど他の海藻類にも含まれるが、昆布は重量の30%ほどがアルギン酸で、含有率が高いのが特長。

「アルギン酸はそのネバネバで、食事でとった余分な脂や糖分、塩分を絡めとって便として体外に排出してくれます。すると、吸収される脂分や糖分が減るため、体内の脂肪量が減少。高血圧の原因といわれる塩分も排出されるので、血圧が下がるのです。また水溶性食物繊維であるアルギン酸には、善玉菌のエサとなったり有害物質の排泄を促したりする働きもあるため、腸内環境も整います」

 腸内環境を整えることは、便通の改善や免疫ケア、肌荒れの緩和も期待できる。不足しがちなミネラルやビタミン類も豊富でうれしい限り。今すぐにでも昆布をとりたい気持ちになるが、どんな食べ方をするといい?

「おすすめなのはだしを取った後の昆布の活用。だしとして引き出されるのはうまみ成分だけで食物繊維はそのまま昆布に残っていますから、十分な健康効果が得られます。細かく切ってしょうゆやポン酢などお好みで味つけすれば、おいしい副菜になります」

 この方法なら昆布の唯一の注意点も気にする必要がなくなるそう。

「昆布にはヨウ素という栄養素が含まれています。ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料となるなど身体に必要なものですが、甲状腺に何らかの異常がある人は、とりすぎるとよくないことが知られています」

 しかしだし取りすると、その過程でヨウ素の95%が水に溶け出す。

「ですから、だしを取った後のほうが安全に昆布の食物繊維をとることができます。なお、だしにはヨウ素が溶け込んでいますが、水で薄まっているため、飲んでももちろん問題はありません。寒い季節には鍋料理がおいしいですが、昆布を入れるのもよいでしょう」

 昆布にはとろろ昆布など食べやすく加工されているものもあるが、それらでもいい?

「とろろ昆布は昆布を酢に漬けたあと、薄く切ったもの。酢には成分を引き出す作用がある上に薄くスライスされていますから、有効成分が腸の中で出てきやすい状態になっています」

 昆布にはミネラルやビタミン類、老化防止・アンチエイジングに役立つ色素成分も豊富。おいしく食べるうちに、いつの間にかやせて、肌も髪もツヤツヤになっているかもしれない!?