「電通の『LGBTQ+調査2023』によると、性的マイノリティーの割合は9.7%。約10人に1人の割合で、日本における左利きの人の割合とほぼ同じ数値なんですよ」
左利きはぱっと見でわかる。だが、LGBTQ+の人々は隣にいてもわからない。日本は長い歴史上、人を“男”“女”という2つの性別に分けてきた。そこから逸脱した性的指向の人たちは、時には偏見の目で見られ、時には面白おかしく揶揄(やゆ)される対象になってきた。
ショーパブで働くトランスジェンダー女性の光と影
「私は京都在住ですが、還暦を過ぎたママが経営する、トランスジェンダーの女性が働くショーパブが祇園にあるんです。そこのママと親しくさせていただいていて……」(松村さん)
あるとき、ママが松村さんに言った。
「ここで働く子たちって、若いうちはチヤホヤされるんだけれど、年をとると踊れなくなるの。そうするとここを卒業して、掃除のおばちゃんか警備員になる。老いぼれて動けなくなったら、寂しく孤独死していく子が多いのよ。去年も3人孤独死したわ」
この話を聞いて松村さんは、目の前に広がるきらびやかな光景とのギャップに胸を痛めたという。すでに男女を結びつける結婚相談所を開業して11年がたっていた。
「そのとき、LGBTQ+の人たちの生涯レベルのご縁結びもできないかと考えたのです。そこでLGBTサポート協会を立ち上げました。4年前のことです」
所属している結婚相談所連盟(株)BIUの浅井正輝社長に相談し、今では全国160か所の相談所を構える組織に成長した。