こちらの協会で出会い、パートナーシップを結んだトランスジェンダーのカップル、さとるくん(仮名・34歳・トランス男性)、しずかさん(仮名・38歳・トランス女性)に話を聞いた。
さとるくんは言う。
「実は2年前、とあるコミュニティーが主催するノンオペ(身体を手術していない人たち)のトランスジェンダーのZoom交流会があって、そこでしずかさんを見つけたのです。一目惚れでした。でも、勇気が出なくて主催者さんに、『あの子、誰?』とは聞けなかった」
母親からは「どんなあなたでもいい」の言葉が
そのまま会えずじまいだったが、LGBTサポート協会のオンライン交流会に参加したときに再会を果たした。
「“あ、しずかさんがいる!”と、うれしくなった(笑)。交流会の後、仲人さんに、お見合いできないか聞いてもらいました」(さとるくん)
「私はノンオペの交流会では、さとるくんに対して“参加者の一人”という印象しかなかったので、“お見合い”の話をいただいたときは、びっくりしました」(しずかさん)
遠距離だった2人は、まずはZoomでお見合い。じっくり話をしてみると、物の見方や考え方、価値観が似ていた。そこから交際を始め、リアルに会って一緒の時間を過ごしてみるとますます惹かれ合うようになった。
そして、出会って2か月目、観覧車のある公園でさとるくんがしずかさんにプロポーズをした。
わが子に、「自分はトランスジェンダーだ」と告白されたら、古い風習で育ってきた親は、それを理解し、受け入れられるのか?
「31歳のとき、母親にカミングアウトしました。かなり戸惑っていましたが、最終的には受け入れてくれて、そこから父親にも話しました」(しずかさん)
「僕は、家族との折り合いが悪く23歳のときに家出同然に実家を飛び出しました。カミングアウトの必要に迫られ『こんな僕が嫌だったら、もう二度と家には戻りません』と、外から母に告げたところ、『どんなあなたでもいいから、帰ってきて』と。半ば強制的に認めさせた感じです(笑)」(さとるくん)