「更年期などで悩む方には“女性ホルモン減少には勝てない”と思い込んでいる人も多いんです。しかたがないものだとあきらめていて、根本から改善しようという人が少ないのが残念です」
そう話すのは、「食べるフェムケア」を提唱する管理栄養士の伊達友美さん。これまで34年間のカウンセリングを行い、女性特有のPMS(月経前症候群)や生理痛、生理不順などで悩んでいる方に、食事の改善をサポートしてきた。
「女性ホルモンを整えるためには、日々食事で摂取する油の質がポイント。生理のたびに3日寝込むっていう方もいました。生理前にも鈍痛で1日起き上がれない日があり、始まっても1日か2日寝込んでしまうので、生理休暇が足りなくて困っていました。
そして、油の正しいとり方を実践されたところ、翌月は1日だけ寝込んだが、翌々月には生理休暇が必要ないほど生理の症状が軽減したという例もあります」(伊達さん、以下同)
更年期にも効く身体にいい油の選び方
女性ホルモンを作るコレステロールは、口から取り入れた油脂(脂質)とタンパク質などから作られ、食べるものを変えれば不調は改善するという。
「そもそも、女性の身体は水分の次に油分が多く、心臓機能や肌のバリア機能を維持するためにも良質な油であることが大事。特に更年期の女性は、閉経の影響もあり体脂肪率が高くなる方が多いので、適切な油の摂取が更年期症状の改善に効果的です。
油の質を見直すことは、ホルモンバランスの改善や更年期症状の緩和につながります。婦人科にかかり、ホルモン補充療法や漢方薬に頼る前に、油の摂取方法の見直しをおすすめします」
伊達さん自身、油のとり方を見直したことで不調が改善した経験がある。10代から20代にかけては、摂食障害で悩まされた時期があったそう。
「痩せれば痩せるほど美しいという強迫観念から、極端な食事制限をしていました。結果、生理は止まるし、肌はボロボロ。自分の命と向き合って、食生活を根本的に見直したのが、栄養学との出合いのきっかけだったんです」