視力を失う日が来ても
動物が大好きなりり香さんは、現在は4年前に結婚した夫と共に、シーズー犬のずんだ君とハリネズミのぷーちゃんと一緒に暮らしている。
しかし、2年前、21歳のときに眼科の定期健診で、緑内障と診断を受けた。緑内障は視神経が傷んでしまう病気で徐々に視野が狭まり、元に戻ることはない。
「担当医からは『このままだと5年から10年ほどで失明するだろう』と告げられました。目薬での治療を続けていたのですが、そろそろ進行を抑えるための手術が必要だと言われていて、今、病院を探しているところです」
その声に悲愴感はまったくない。
「視力が完全に失われたら、今よりもちょっと大変になるなと思っていますよ。でも、今と変わらない部分もあるので、不思議とショックは少なかったです。それに中学校からは視覚支援学校に通っていたのですが、私より見えなくても絶対音感を持っていたり、多才な子が多くて。みんなイキイキしていました」
とはいえ、視力が残っているうちに見たいものを見ておきたいという気持ちはある。
「できるだけ海外旅行をしたいと思っていて、最近は独学で中国語を勉強しています」
去年は上海を旅行し、少し前には台湾のミュージシャンのライブを見るために、友人と現地集合&現地解散で台湾に行ってきたそう。
「ライブの席は3列目で、視覚的にはぼんやりとしか見えなかったのですが、熱気はすごかった! 旅に出るとにおいや音、空気感などの五感で感じ取れるものも多いので、また行きたくなるんです」
特にSNSの影響から見た目にこだわる人が増え、今は髪を白く染めたり、カラーコンタクトで瞳の色を変えることが珍しくない時代。ルッキズムという言葉が一般的になりつつあるが、彼女は自分の外見をどのように捉えているのだろうか。
「『色白でいいなぁ』と言われることもあるのですが、私自身は正直なところ、アルビノでよかったと思ったことはないんです。でも、自分の意思とは関係なく、生まれつき変えられない見た目で、視覚障害を抱えている人がいるということを知っていただけたらうれしいですね」
りり香さん● 北海道生まれ。「アルビノは白いだけじゃない、を伝えたい」をモットーにSNSで発信をしている。
インスタグラム https://www.instagram.com/ririka7116/
取材・文/熊谷あづさ 写真/本人提供