岡村は90年代で時が止まっている

 過去のことを蒸し返してなんですが、どうしても思い出してしまうのが、岡村さんの過去の炎上発言なのでした。2020年4月23日深夜放送の同番組で、岡村さんは新型コロナに感染するのが怖いから風俗に行けないというリスナーからのメールに対し、「コロナが収束したら絶対面白いことがあるんですよ。コロナが明けたらなかなかの可愛い人が、短時間ですけれども美人さんがお嬢やります。これ何でかって言うたら、短時間でお金を稼がないと苦しいから」と返します。

 岡村さんくらい裕福であれば、いくらでもステイホームできるでしょうが、新型コロナ感染症という不可抗力が原因で困窮する人に対して、あまりに思いやりがなく、かつ女性を性的な道具としかみなしていないとして大炎上しました。

 発言のヤバさだけでなく、この発言が明らかにしたのは、岡村さんの“時代おくれ感”なのでした。深夜ラジオがパーソナリティとリスナーの密なやりとりを楽しむ時代がありましたが、今はradikoがありますから、スマホさえあればいつでも誰でも番組を聞くことができます。

 数字が欲しいネットニュースは知名度のある売れっ子をターゲットにしますから、岡村さんは良くも悪くも気を抜いてはいけないはず。時代が進めば価値観や配信方法が変わり、聞き手が変われば、言っていいこと悪いことの基準も自分で変えて行かねばならない。けれど、岡村さんはそのあたりのアップデートがなされておらず、90年代で時が止まっているように思えてならないのです。

 岡村さんのピンチを救うべく、相方の矢部浩之さんが同番組4月30日放送回に緊急出演、公開説教に踏み切ります。矢部さんがきつめに叱り、岡村さんが反省して謝る形を取ることで、世の中の溜飲をさげようとしたのでしょう。そこで明かされたのが、「上にはソフトに、下には厳しい」岡村さんなのでした。

 たとえば、岡村さんは本番中や人がいるところでしか人に謝らない(オフでは矢部さんに謝らない)、プロデューサーやマネージャーにコーヒーを入れてもらっても「ありがとう」を言わない、目上の人に食事に誘われると「ぜひ行かせてください」といい顔をするが、マネージャーに断りに行かせるなど、自分より強い人にはペコペコする一方で、年下、身内、女性に対しては強く出ることを指摘されています。

「売れれば、何をしてもいい」という考えに染まってしまうと、人を自分より上か下かで判断する、自分にメリットのある人にしか敬意を払わないという態度を取りがちです。「美人さんがお嬢」発言は口がすべったわけではなく、弱い立場の人を踏みつける岡村さんの日ごろの態度が出てしまったと言えるのかもしれません。