「日本で初めて、テレビカメラの前で派手にやったのが僕」

「“テレビに出たらロックじゃない、メジャーな世界に背を向けているからロックなんだ”と言われていた時代でした。スタンドマイクを持ったパフォーマンスがウケましたが、もともとロッド・スチュワートとかジェームス・ブラウンがやっているのを見ていたんです。

 日本でいちばん初めに、テレビカメラの前で派手にやったのが僕だっただけですよ。マイクスタンドの使い方で個性が出ると思っていたから、よし、投げてやろうとか考えていました。そのころはマイクにコードがついていたから、コードを引っ張ったり、投げたり受け止めたりね」

 まだ誰もが洋楽を聴いていたわけではなく、大人気だった歌番組『ザ・ベストテン』(TBS系)の世良を見て初めてロックに触れた人も多い。男の子たちはこぞってアクションをマネしていた。

「ロックの世界でバンドとしてミュージシャンとして認めてほしくて、空いている時間はとにかくギターを触って、レコードを聴きまくってという生活でした。

 インタビュー取材のとき“本当のロックを知らねえくせに”と言われるのがイヤだったから、答えられない質問がないように毎週何十枚もレコードを買って聴いていました。

 あのころは、女性ファンがつくとミーハーだとか言われたんです。なぜか日本では“10代に支持されると本物じゃない”という風潮があったんですよ」

 アイドル雑誌の表紙を飾るほどの人気となり、それまで男だけのものだったロックバンドに女性ファンが生まれた。'81年にツイストが解散後、世良はソロ活動を開始。

「'82年かな、小林克也さんの『ザ・ナンバーワンバンド』に桑田佳祐、織田哲郎と一緒に参加してギターを弾いていたことも。今思うと、ものすごく豪華なメンバー。昔は考え方が自由だったんだよね。最近はどこかビジネスライクで、“みんなでやろうぜ”と言ってもなかなか難しい」