健康な心と身体を維持するのに欠かせないたくさんのホルモン。本来なら、ホルモンは24時間、バランスをとりながら働いてくれます。

 でも、現代人の中には、そのバランスが崩れている人が多いと根来先生は言います。

根来秀行先生 ハーバード大学医学部客員教授、パリ大学医学部客員教授、事業構想大学院大学理事・教授。抗加齢学、長寿遺伝子、時計遺伝子、睡眠医学など多岐にわたり最先端の臨床・研究を行い、国際的に活躍。新著は『ホルモンを活かせば、一生老化しない』(PHP研究所)
根来秀行先生 ハーバード大学医学部客員教授、パリ大学医学部客員教授、事業構想大学院大学理事・教授。抗加齢学、長寿遺伝子、時計遺伝子、睡眠医学など多岐にわたり最先端の臨床・研究を行い、国際的に活躍。新著は『ホルモンを活かせば、一生老化しない』(PHP研究所)
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最大の原因は、不規則な生活、睡眠の質の低下にあります。24時間営業のコンビニ、好きなときに稼働できるパソコン、スマホなどの影響で、現代人は、本来、寝ている時間にも活動するようになりました。ホルモンの中には、細胞に組み込まれた時計遺伝子によって分泌されるものも多いため、自然に逆らった生活を送るとホルモン分泌のバランスが崩れてくるのです」(根来先生、以下同)

 例えば、前の記事で説明した成長ホルモン。これ自体は時計遺伝子に支配されるホルモンではありませんが、それを促進するメラトニンは、時計遺伝子によって管理されています。そのため、メラトニンがうまく分泌されないと、成長ホルモンも減少し、身体の修復が行われにくくなってしまうのです。

「ホルモンは、全身をコントロールする自律神経、血管系と連動して働きます。そのバランスを維持するためには、1日のリズム(サーカディアンリズム)を保つ生活を続けることが何より重要です」

 下に挙げたのは、時計遺伝子を狂わせることなく、健康に、効率よく暮らすための知恵。日中と夜間で、規則正しくメリハリのある暮らしをすることが、ホルモンや自律神経のリズムを健康に保つ秘訣です。これを意識するだけで、ホルモンの力がアップし、生活の質や仕事の効率が見違えるほど向上するはず!

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イラスト/アライヨウコ

〜1日のリズムを保つポイント〜

■(1)決まった時間に起き、太陽の光を浴びる

 時計遺伝子によって刻まれる体内時計をリセットするのが太陽の光。仕事や付き合いで寝る時間がバラバラになってしまっても、決まった時間に起きて光を浴びることで、毎日、時計を合わせることができます。

■(2)朝食は抜かず、日中は活動的に過ごす

 日中は、活動モードのとき優性になる交感神経の働く時間。ダラダラせずに活動的に過ごすことで、自律神経のバランスがとれ、ホルモンの分泌にもいい影響を与えます。活動のエネルギー源である朝食はしっかり!

■(3)午前の2度寝はOK。昼寝は30分以内

 午後に眠くなることがありますが、90分以上寝ると深い睡眠に入ってしまい、夜眠れなくなることも。昼寝は15時をメドに30分以内に。それ以上仮眠したい場合は、午前中の2度寝にすれば、夜の眠りに影響が出ません。

■(4)夕食は量よりバランスを重視

 休息モードに入る夕方以降に重い食事をとるのは、極力避けましょう。夕食は、腹7分目を心がけ、バランスよく食べること。ホルモンには適度な空腹が効果的なので、おなかがすいていなければ無理に食べなくてもOK。

■(5)夜はパソコンを切り、室内の照明を落とす

 睡眠に入る3時間前になったら、できるだけ明るい光を見ないように。パソコンやスマートフォン、ゲームなどはやめ、室内の照明も落としてください。ゆったりリラックスすれば、自然に質の高い睡眠に導かれます。

■(6)睡眠は7時間が理想

 睡眠時は、深い睡眠と浅い睡眠が90分周期で繰り返されるので、睡眠時間を90分(1.5時間)単位で設定するのが理想です。ベストは7(1.5×5)時間。これを目安に、寝る時間と起きる時間を決めてみて!