がん検診は無意味!?ワクチンはいらない!?
どのページも目からウロコが落ちる情報が満載ですが、特に衝撃なのが、子宮がん、乳がん検診は受けないほうがいいという主張。
「僕が治療を始めた'80年代は、乳がん患者は2万人でしたが、今は7万人。この増えた5万人は検診でがんを見つけられてしまった人たちです。でも、乳がん死亡数は増えこそすれ、減ってはいない。もし検診、早期発見に意味があるなら、多少なりとも乳がん死亡が減ってもいいはずなのに。つまりは死ぬ乳がんと、検診で見つかるがんは無関係なんですよ」
具体的なデータは、本の中にあるので、ぜひチェックをしてみましょう。
ほかにも、子宮頸がん予防ワクチンの副作用の大きさ、高血圧=即座に病気という診断のウソ、清潔にするほど免疫力が落ちていくなど、読み進むほど、“お医者さんの何を信じたらいいの?”という気持ちが強くなります。
「医者が言うのもなんですが、医者はあてにしないことです(苦笑)。ただ例えばケガなどを治すために尽力している医者は、信用してもいいんじゃないかな。やっぱり医療は患者さんの生活の質を上げるには役立つものだから、そういう分野で働いている医者は、ためになると思います」
なお、いいお医者さんを見つけるためには、減点法がオススメ。患者の話を聞かない、目を見て話さない、服装がだらしない、白衣が汚い、患者のプライバシーや羞恥心に配慮しない、ひとつの治療法しか提示しないなどは、ちょっと立ち止まって考えるきっかけになります。思ったよりも常識的なことですが、非日常である病院の中ではなかなか気づけないことです。
「健康であることを望むなら、特別なことはしなくてもいい。タバコは絶対に身体によくないので禁煙をすすめますが、それ以外なら、いろいろやって結局マイナスになることのほうが多い。急にジョギングしてひざを痛めたとか、心当たりはありませんか? 運動不足が気になるなら、せいぜい散歩程度でいいんです」
近藤さんが世間でよしと言われているものに異を唱えるときは、3つのことを心がけています。ひとつ目はデータ的な裏づけと、それをもとにした推論をしっかりさせること。2つ目は患者さんに対する同情心。3つ目は同業者に対する怒りです。しかし、自分の意見を絶対的に正しいとは思っていても、患者にそれを無理に押しつけたくはないとも言います。
「それだと、治療法をひとつしか言わない医者と同じになってしまうからね」
自分の身体のことは、多くの情報を集めて自分で決定することが、満足のいく人生のあり方だと実感です。
■取材後記
国内各地からはもちろん、外国からも患者さんが訪ねてくるという、超多忙な近藤先生。お休みは基本的にないそうですが、風邪めったにひかず、ひいてもすぐ治り、外来を休んだことはないのだそう。健康の秘訣は「早寝・早起き。僕は7時に寝て3時に起きるよ」。7時就寝は無理そうですが、夜型の己を反省!
(取材・文/中尾 巴)