WHOが「糖類摂取量は1日25グラム未満に」と新指針
世界保健機関(WHO)が今月、糖類摂取の新指針案を発表した。これまでは総摂取カロリーの「10%まで」だったのが、今後は「5%未満」に。
平均的な成人なら、1日25グラム、ティースプーン6杯分の砂糖が目安になる。
「僕を含め砂糖中毒に陥っている人には、この指針を達成するのは難しいでしょう。砂糖は手っ取り早く使える食材。本来、動物はとらずに生活していましたが、人工的に砂糖を作った。その結果、脳が覚えてしまい、多くの人が中毒になってしまったんです」
そう明かすのは、自由が丘マナクリニックの山口康人院長だ。街中にカロリーがあふれ、新しいスイーツが次々に店頭に並ぶ現代の日本で、"甘くない生活"を実践するのはそうとう難しい。
「糖質と脂肪がどちらも多いものは、余計に太ります。クッキーやケーキ、チョコなどは肥満をより促進させます」
『元気にやせる研究所』代表の管理栄養士・中本綾美さんは、"食べる要注意物件名"を次々にあげる。身体によさそうなスポーツドリンク類も、意外に危ない。
「砂糖の含有量が多く、少し運動したからといってガブガブ飲むと、消費量より摂取量が上回ります。シェイクやコーヒーショップのチョコシロップなどのトッピングも、糖類の塊。栄養ドリンクは、250ミリリットルに約27グラム前後も糖類が入っているものもあり危険です。シリアルやドライフルーツ、味つきヨーグルトなども、数値が高い。健康によいと思っている商品で、どんどん太っていくんです」
と中本さん。さらに食品情報の読み方を明かす。
「原材料表示は、多い物の順に書くことが決められている。最初のほうに砂糖が書かれていたら要注意です」
砂山院長も、清涼飲料水に使われる砂糖が「一番危険」と指摘。
「コーラは500ミリリットルのうち約55グラムが砂糖。角砂糖換算で16個ほどです。同じ量のスポーツ飲料は約31グラムが砂糖で、角砂糖約10個分。小さい缶コーヒーにも、角砂糖約3・3個分……」
キャンディーや和菓子、砂糖菓子など、砂糖の含有がわかりきっている食材なら避けられるが、スポーツ飲料などに入っていては、無意識に手が出る。意外なところでは、ちまき、みりん、梅酒、ウスターソースなども、糖分の宝庫という。
どうすれば"糖質とりすぎ"を防げるの?
現在、日本の食品成分表に、糖類の成分値の表示義務がないことも、摂取量を推定しにくくしている。しかし、とり続けて健康被害を受けるのはこちらの身体。自分で守るしかない。糖分を遠ざける名案はあるのか?
専門家の見解は、次のとおり。まずは山口院長のアドバイスだ。
「ポテチやケーキなど、太るといわれているものは危険。ただ、すべては程度問題なので、月に1度ケーキを食べるなら問題はほぼない。習慣化することが危険です。何かを完全に断ち切ると継続が難しいので、"今より少し減らす"を続けることも大切。ごはんなら、お茶碗の3分の1を削れば、1か月にするとそうとうの量になり、炭水化物をかなり抑えることができます」
さらに、
「"買わない習慣"をつけることも一番重要ですね。家やオフィスにいつも食べ物がある人は、改善しましょう。1度、自分で作ってみるのも手です。ケーキなどは100グラム単位で砂糖を使う。そのことを知っていれば、食べる時に、多少抑制につながるかもしれない」
万が一食べてしまった場合の対処方法は、中本さんがアドバイス。
「野菜全般や海藻類などに多く含まれる食物繊維は糖質の吸収を緩和できるので、一緒にとれば体内に換算される糖質が少なくてすみます。味つけに砂糖を使わず、塩コショウやスパイス、柑橘系の汁で香りづけすれば、糖分や塩分が同時に減らせます」