■神経でつながる内臓の不調や難治性の疾患にも

〈背骨コンディショニング〉のすぐれた点は、単なる腰痛や肩こりだけでなく、これまで治りにくいとされてきたさまざまな不調を解消できるという点にあるといいます。

「手術しても治らないことがある椎間板ヘルニアや、高齢者に多い脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)は、根本にある背骨、仙骨のずれを整えるだけでほとんど痛みがなくなります。また、背骨のずれを整えることで、神経の先にある内臓や他部位の神経の緊張を改善できるので、内臓のトラブル、アレルギー、耳鳴りといった治りにくい症状が緩和したというケースも少なくありません」

(1)内臓の症状

 胸椎の左右には、肝臓や胆嚢(たんのう)、胃・膵臓(すいぞう)につながる神経があります。背骨が左右にゆがみ神経が引っ張られた側の神経伝達異常が起こることに。「背骨のゆがみを取ることによって、内臓への神経伝達が正常になり、不調が改善することも多い」と日野先生。

(2)椎間板ヘルニア

 ヘルニアが神経を圧迫することで痛みが出るとされる椎間板ヘルニア。手術を受けても治らないケースのほとんどに、背骨のずれがあると日野先生。「ヘルニアがあっても、痛みが出る場合と出ない場合があります。痛みの原因は、神経の圧迫ではなく背骨のずれによって神経が一定方向に引っ張られるから。これを治すことで、手術でも治らなかった痛みから解放されるのです」

(3)めまい、聴覚障害

 脳に異常がなく、原因不明と診断されためまいや聴覚障害は、「頸椎1番の骨の後方へのずれによることが多い」と日野先生。「頸椎1番と同じ高さにあるのが内耳神経。この神経は、聴覚を司(つかさど)る蝸牛(かぎゅう)神経や、平衡感覚を司る前庭神経と関連しているため、現代人に多い耳鳴りやめまいなどにつながりやすいのです」。こうした治りにくい症状も、〈背骨コンディショニング〉を施すことで徐々に改善してくるそう。

※明日の第2弾では、自宅できる体操をご紹介します。

〈プロフィール〉

日野秀彦先生●一般社団法人・背骨コンディショニング協会代表理事。日本最大手スポーツクラブの第一期フィットネスディレクターとしてさまざまな運動プログラムを開発。その中で〈背骨コンディショニング〉というまったく新しい施術を考案し、手術でも治らないさまざまな症状の改善を行う。現在、100人以上のインストラクターを養成し、自らも全国で施術を行っている。