鍼灸師の資格も持ち、東洋医学を積極的に治療に取り入れている歯学博士の中城基雄先生。この10年、中城先生の医院に訪れた口臭に悩む患者さんは3000人。たくさんのお口のなかを覗いてきた先生は「舌にはその人のさまざまな情報が隠されている」と言う
舌の状態を見れば、すべてわかる
舌のうえにつく白、黄色、紫がかった苔にあたる舌苔(ぜったい)。これを大きく分類すると、中庸型、胃熱(いねつ)型、痰飲(たんいん)型、腎虚(じんきょ)型、お血型、水滞型の6タイプがあります。
それぞれ舌苔の色が違うのですが、例えば、胃熱型は舌が赤く、東洋医学では熱が関係すると考えられている。身体に熱を抱え込んでいるために、のぼせなどの症状も見られ、また性格も熱しやすいために短気や癇癪持ちが多いです。身体の中は常に燃えているために、口臭は焦げ臭いのが特徴。クールダウンさせる漢方を服用することで、口臭やのぼせなどの症状が抑えられるのですが、結果的には怒りっぽい性格も和らぐために、周囲の見る目も変われば夫婦仲までよくなるというわけです。
また、高齢者になると、全身の水分量が低下し、唾液も減少することから、ドライマウスになりがちです。舌も乾燥してひび割れ、面積もひからびたように縮んでしまうために味がわかりにくくなってしまうのです。その結果、食事は濃い味ばかりを好むようになって、メタボや糖尿病などを引き起こす原因となるのです。
このように、舌にはその人の過去の履歴、現在、そして未来が刻まれているため、舌を見れば、その人のことがわかってしまうのです。そこで、毎朝、自分の舌を鏡でチェックする“あかんべー習慣”を身につけましょう。舌を観察することで、自分の体質を知ることができるので、体調をコントロールしやすくなります。口臭の変化は自分の身体の変化を表していて、病気の予兆もわかるのです。
では、実際に6タイプに分類される舌苔の特徴をそれぞれ見ていきましょう。