《番組をインターネットに許諾なく公開することは違法です》
テレビをつけたら、いきなりこんなテロップが出ていてビックリ。映画館では上映前に、"映画泥棒"のダンスを見ることに慣れていたけど、テレビでもやるとは!
この"違法配信撲滅キャンペーン"を行っている『日本民間放送連盟』ライツ・コンテンツ部長の斎藤信吾氏に、その狙いについて聞いてみた。
「1月下旬からスポットCMを流していました。キャンペーンをより効果的に進めるために、2月23日から3月1日までの1週間限定で啓発テロップを入れたんです。夜7時から深夜2時までに放送される番組が対象で、生放送には入れていません」
どのチャンネルでも必ずテロップが入ったので、印象が強かったわけだ。それにしてもなぜ今なの?
「違法配信自体はYouTubeなどで以前から行われていました。取り組みを強化したのは、昨今『FC2動画』が台頭してきたから。これはアップするとお金が儲かるという仕組みのものなので、"さすがにこれはマズい"ということに。捜査当局も動いて、昨年秋の一斉検挙にもつながってきたので、機は熟したということもありました」(斎藤氏、以下同)
時間帯を限ったことにも、理由があるという。
「夜7時から深夜2時までにテレビを見ている視聴者層の中に、実際に違法配信をしている人がいると思われます。配信される番組がドラマやバラエティーが多かったので、それらが多く放送される時間帯にしたのもあります」
NHK以外の全国のテレビ局で換算すると、計7000回ほど流れたことになるという。テロップは3月1日で終了したが、CMは3月末まで放送される。遠藤憲一が刑事役になって違法配信の容疑者を取り調べるという設定だ。
「"アップロードは違法である"ということを印象づけるのが目的でした。善と悪をはっきり打ち出す構図にするため、刑事と犯人という絵がいちばんしっくりきたんです。遠藤さんなら、最後にはクスッと笑えますしね」
顔が怖いだけに迫力のある映像になっていたけれど、違法配信にはどんな刑罰が科せられるのだろう。『弁護士法人・響』代表の西川研一弁護士に聞いてみると、
「番組をインターネット上に無断でアップロードすることは、著作権を侵害したとして著作権法119条1項により10年以下の懲役または2000万円以下の罰金に処される可能性があり、それが併科されることもあります。刑事罰のほかに民事上の損害賠償責任を負うこととなります」
そういった違法な映像を見た人も、場合によっては処罰される可能性があるとか。
「違法にアップされていることを知りながら、パソコンにダウンロードした場合、その番組がDVDとして販売されていたり、オンデマンドで有料配信されていたりすれば、刑事罰の対象となっています。2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金に処される可能性があり、併科されることもあります」(西川弁護士)