『下町ロケット』には、佃製作所の社長を演じる阿部寛をはじめ、視聴者を元気づける名言が数多く生まれている。そこで選りすぐりのセリフを選抜して紹介。
・「逃げちゃいけないっ。お願いだから、諦めないでください」
第1話で阿部寛が演じる佃航平や『佃製作所』の社員たちで会社の今後について話し合うシーン。『ナカシマ工業』の傘下に入ることを選ぼうとした佃に、立川談春演じる経理部長の殿村直弘が叫んだ言葉。
一部上場企業のナカシマから佃製作所が開発したステラエンジンについての特許侵害で訴えられ窮地に立たされた佃。会社の顧問弁護士を恵俊彰演じるヤリ手の神谷修一に代えたものの資金繰り問題が露呈する。研究者として夢をとるか、経営者として社員の生活をとるか、佃は苦渋の選択で生き残る道を選ぶ。
だが、「社長、あなたは夢に愛されている」と涙ながらの訴えに、その言葉を聞いた佃も涙を流した。
・「おっさんが夢見て何が悪い。町工場が夢見て何が悪いんだ!」
第1話で佃が会社の食堂に全社員を集め、今後の方針をアツく語った決意表明のひと言。『佃製作所』の特許を模倣したのは『ナカシマ』だったのだが、本当の目的は、裁判対策が万全ではない佃製作所を訴訟で追い込んで疲弊させ、強引に会社を買収することだった。
しかし、神谷弁護士による助言で、ナカシマに“逆訴訟”を仕掛けて、一か八かで勝負を挑むことにした佃。「銀行に見捨てられ、取引先からも見放され、それでもまだこの製作所には君たちがいる。だから俺は闘うことにした」と社員の前で宣言。
最後には目に涙を浮かべ、「社員数1万5000人、年商6000億、1部上場、それがどうした! この佃製作所には、そんなものとは比較できない世界に通用する技術力がある。最高の社員たちがいる。その宝をナカシマなんぞに渡してたまるか!」と奮起する。
・「培ってきた技術力だけは奪えない。正義はわれにアリだ!」
第2話の『ナカシマ』との特許侵害についての裁判シーンで、飛び出した佃のセリフ。証人として法廷に立った佃は、大企業に対して有利な判決を出す傾向にあると思われた田端裁判長に対して、自分の胸の内を正直に語り始める。
池畑慎之介が演じるナカシマの中川京一弁護士に「あんたみたいな偉そうな弁護士はどうか知らない」という発言の後、「技術者は自分の無力さを知ってるよ!! 毎日、壁にぶつかってばかりだ。だからこそ毎日、必死に腕を磨いて、徹夜で開発に没頭している。次こそはって信じてる!」と技術者としての思いの丈を熱弁する。
その言葉に反応した裁判長が、さらに佃に言葉を促すと、佃は娘が自分のシャツをアイロンがけしてくれた話を始める。「今日、娘のことで喜びを感じたのは、特許のおかげじゃない。このシワをどうやったらもっと簡単にのばせるか。
ただそれだけを思ってアイロンを作り上げた技術者の思いがあったから。そういう技術者の思いを守るために特許があるべきなのに、それに振り回されて金のことしか考えられなくなった……、そこに技術の進歩はありません」の後のフレーズがコレだった。
裁判長は「本件では佃製作所が特許侵害をしていないと認める」と、佃製作所側に有利な和解案を提示し、佃の完全勝利で決着した。