いよいよ8月5日に開幕するリオ五輪。32年ぶりに出場を決めた水球男子日本代表、通称“ポセイドンジャパン”。悲願を達成し、より一層の盛り上がりを見せている。

 そして今回、日本代表で“水球イケメン男子”としても注目を集めているのが、保田賢也選手だ。

「そもそものスタートは水泳から。兄や親戚が水泳をやっていたのが大きかったですね。地元の富山県で0歳からベビースイミングをやっていましたし、小学生のときも選手コースで練習していて、北信越の大会でも上位に入っていました」

 しかし、小学5年生のとき水泳に対する思いが途切れかけてしまう。時期を同じくして出会ったのが水球だった。

「水泳が全然楽しくなくなってしまいました。やらされているような気持ちだったんです。そんなときに地元で“水球交流会”に参加しました。泳ぐのは得意でしたし、すごく活躍できて。それを見ていたクラブチームからスカウトされたのが始まりです」

『富山ウォーターポロクラブ』に入ったあと、持ち前の身体能力を生かして全国大会にも出場。その後、スポーツの猛者たちが集まる筑波大学に進学し、その実力をさらに高めていく。努力も惜しまなかった。

「毎日の練習をしたあと、キーパーに残ってもらってシュートの居残り練習をしていましたね。僕が気持ちいいシュートを打てるまで帰らないという(笑)」

 それにしても、私たちにはあまりなじみのない“水球”というスポーツ。いったい、どんなところが魅力?

「やっぱり躍動感ですかね。泳いでつかみ合って、殴り合って。水の中であれだけ激しく動くスポーツは水球だけ。サッカーボールくらいの大きさのものを時速80キロくらいのスピードで投げます。体感速度は120キロ~130キロくらいになるんですよ」

 相手選手と激しく競り合うプレーが多く、まさに“水中の格闘技”。具体的には、どんなことが水面下で繰り広げられているのだろうか。

「相手の攻撃を防ぐためにマークしている選手を水中に沈めたりもします。僕のフローターバックというポジションは、2メーターあるような大きな体格の選手につくところなので、反則ぎみで守らないとダメ。ひじ打ちされたり、水面に顔をつけると、ひざ蹴りされたりすることも。今も口の中が切れちゃってます(笑)」

 場合によっては、骨折してしまうことも珍しくないという。それでも続けたいと思えるほどの魅力がつまっているスポーツなのだろう。

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お互いに自立した関係性が理想

 日本代表のチームメートとは、お互いにわかり合っている仲だそう。

「合宿が多いので、ほとんど毎日一緒にいます。仲もすごくいいですよ。練習中に言い合いになることもありますけど。お酒の席でも水球の話になったり。そういう場でないとできない話もあると思うので、僕は大切にしています」

 ほぼ毎日のように練習漬けで、ほとんど休日がないという。その数少ないオフは何をしているの?

「周りは髪を切ったり、遊びに行ったりしている人もいますね。僕はたくさん寝ています(笑)。そういうときじゃないとできないので。もし、まる1日オフが取れたら、お昼まで寝てから美味しいものを食べて、温泉に行ってから友達とお酒を飲みたいですね」

 今は水球に集中する日々だが、ゆくゆくは結婚もしたいという。

「子どもが好きなんです。親戚の子もそうですけど、水球教室をやると、すごく子どもから好かれるんですよ。近寄りやすいんだと思います。女性は頑張っている人がタイプですね。やりたいことをやっている人って、輝いていて魅力を感じるんです。お互いに自立した関係性が理想です」

 水球選手としてだけでなく、俳優としても活躍している保田。7月20日には、初のフォトブック『AQUA』(ポニーキャニオン)が発売される。

「最初は緊張していたんですが、だんだんといろいろな表情ができるようになってきて。最後のほうは本当に“素”が出せました(笑)。いつもは喜怒哀楽を出すタイプではないので、普段は見られない僕を見られると思います。食べているショットは自信ありますね。よく周りから“本当に美味しそうに食べるよね”って言われるんです(笑)」

 撮影中には、こんなハプニングも。

「撮影期間が2日間しかなかったのですが、晴れの撮影だったのに雨が降ってしまったり……。花に囲まれて撮るシーンでは、その花が刈られてしまって(笑)。このフォトブックを出した理由のひとつには、水球を有名にしたいという思いがあります。僕=水球という構図で盛り上げていければなと思っています」

子どもたちのため水球をメジャーに

 そう語るとおり、リオ五輪でも水球の存在をより多くの人にアピールしたいと話す。

「チームとしての目標はベスト8ですが、そういうことよりも水球をいかにメジャーにできるか。今まで日の目を見なかった水球にチャンスがきたんです。強豪に勝てば、ラグビーのように盛り上がると思うんです。

 もちろん勝つというのが大事ですが、そのウラには、水球を有名にしたいという気持ちが強い。スポーツの特性として、勝利=有名というのがありますしね」

 人気テレビ番組『テラスハウス』(フジテレビ系)の元メンバーでもある。オリンピック出場が決まって、かつての“同居人”たちからの祝福の連絡がやまなかった。

「すぐにみんな連絡してくれましたね。番組のオーディションでも、“オリンピックに出て、水球を有名にしたい”と言って入りましたからね。“言ってたことが叶ったね!”って祝福してくれました。今でも仲いいんですよ。オフがあれば連絡して都内で会ってます。みんな忙しいけど、わざわざ時間を作ってくれてご飯に行ったりします」

 テラハメンバーとの時間がいい気分転換になっているようだ。

 “水球がなかったら今の自分はない”という保田。“恩返しをしていきたい”ともいうが、それは未来の水球界を支える子どもたちに対しての期待もあるんだとか。

「高校時代はユースの日本代表のキャプテンだったのですが、水球がマイナーだったこともあって、周りに“日本代表のキャプテンだ!”と胸を張って言えなかったんです。でも、だんだんと水球の認知度が上がってきて、今なら言えるかもと思えてきました。だから子どもたちにも今後、“水球の日本代表だぞ!”と言えるようにしてあげたいと思っています」