ライフステージの変化が引き金に

 夫源病になってしまうきっかけについて、石蔵さんは、子どもの成長を挙げる。

「出産直後も『夫源病』になる奥さんは多いですが、一番多いのは、子どもが巣立つ50~60代。それまで“子どものため”と思えばこそ我慢してきたものが、プツンと切れてしまうんです。その年代はちょうど更年期を迎えますから、それまでストレスから守ってくれた女性ホルモンが減少。

 しかも、夫が定年退職して、いつも家にいるようになって、家事に口を出してくるようになったり。それらが重なって、一気に体調が悪くなるんです。逆に、このストレスさえなければ、女性ホルモンの分泌が減少しても、更年期が軽くすむ人が多いように思います」(石蔵さん)。

「急に妻が変わってしまった」と話す患者に話を聞くと、変化の節目には、必ずといっていいほど、子どもの進学・就職があるそう。

 一方、奥元さんは、出産などライフステージの変化のほか、どちらかの実家の近くに移住・同居した後は要注意と話す。

「環境の変化はストレスを感じるもの。例えば、妻の両親と同居した場合、妻にとってそのストレスは前向きなものに感じられるでしょうが、夫にはただ負担になってしまいます。そんなとき、犠牲になっているほうへの配慮が欠けると、夫婦問題に発展しがちです」(石蔵さん)

 いずれにせよ、大きな変化があった際、蓄積した不満が爆発し、夫/妻源病につながりやすいことがわかる。

「夫源病」「妻源病」は裏表の関係

 石蔵さんは、「妻が突然、暴言を言うようになった」と夫が悩んでいる場合も、夫が過去に妻を傷つけたことに起因するケースが多いと話す。

 また、奥元さんは、妻源病の根底には、育児のストレスや、家事や育児が他人から評価されづらいなど、女性が抱える孤独感があると話した。

「夫/妻源病の原因になる言動は、誰しもやってしまうもの。完璧な夫も妻も存在しないのです。パワーバランスが偏っていても、双方納得のうえなら、大問題にはなりません」(奥元さん)

 夫婦の問題は、表裏一体。そこで、夫源病になりやすい性格や妻源病のチェック方法、夫婦でなるべくうまく暮らしていく方法を紹介。