先日、最終回を迎えたTBSドラマ『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』。中谷美紀演じる主人公が奮闘する姿が話題を呼んだ。今や「結婚したい!」という思いに、年齢もタイミングも婚歴も関係ない時代。巷で開かれている、さまざまな婚活パーティーに潜入した。
都内のビルの一室に、37歳以上の男女約200人がゾロゾロと集まり始める。『吉縁会』という若手のお坊さんが主催、運営する婚活の場だ。『吉縁会』事務局長の木宮行志さんは、「この場では相手を細かく選ばないこと。畑(場)を用意しますので、種(連絡先)をまいてください」と助言をする。
参加者の楽しみのひとつが、座禅体験や般若心経の音読という独特のプログラム。この日は会場がお寺ではなかったため、パイプイスに座ったまま座禅を行った。談話の時間になると、男女各20人で、5つのグループに分かれ、異性と1人5分ずつ話す。プロフィールを見ながら、仕事や趣味の話をしている様子。
婚活イベントに数十回、参加経験がある30代後半の女性は「お寺に興味がありました。お坊さんが主催する婚活は新鮮ですし、ここに来る人はやましい気持ちが持てないんじゃないかって」と話す。
40代前半の女性は「30代のころに婚活していたのですが、疲れてしまって。でも自分で動かないといけないと思い、久しぶりの婚活。この会は座禅ができるし、お坊さんの話が聞けるので楽しい」と笑顔を見せた。
グループ内でのトークが終わると、別のグループにいた人たちとも数分だけ話す時間がある。ただ、約100人とプロフィールを交換するため、「また会ってみたい」と、いかに印象づけられるかが大切になる。
最後は連絡先の交換。参加者の写真が貼りつけてある封筒が会場にズラリと並べられ、気になる異性の封筒にだけ、自分の連絡先カードを入れていく。カードは名刺サイズで、手作り。大きさや色づかいに個性が出ている。
「30代前半は仕事が忙しく、結婚を考えられませんでした」という30代後半の女性は、10人の男性の封筒に連絡先を入れた。話した印象のよさと、居住地が近いことが条件だった。一方、自分で持ち帰る封筒には、数十人の男性の連絡先カードが入っていた。
同会は登録制で会員は約6200人。
「登録するために直接お寺に来て、お坊さんと顔を合わせる必要があるので、やる気のない人は来ません」(木宮さん)
登録で2時間待つこともあるという。毎回抽選で、都内開催は高倍率。
「困っている人を助けたい。“ゆりかごから墓場まで”と言いますが、ゆりかごの手前ですね」(木宮さん)
取材・文/渋井哲也