《そんなもんじゃねえよ、社会に出るってことは。働いて給料もらうってことは。(略)でもやるよ、兄ちゃんは。得意先まわって、頭下げて、焼き鳥焼いて、年上のバイトにこき使われて、部下に笑われて。でも意地でも辞めねえよ。いま辞めたら何も得るもんねえから。元とるまで辞めねえよ。だからお前も辞めんな! 元とるまで辞めんな!》

■認めてほしいんだよな、要するに

 山路が担当するクラスでいじめ疑惑が発覚。教育実習で1か月間、山路が面倒を見ていた大学生の佐倉悦子(吉岡里帆)が、児童に問わずにインターネットの情報だけで、解決策を講じようとした。

《あの子たちにとっては一生を左右する1か月かもしれないんだよ。そんな重要な1か月をネットの情報なんかで答えを出してほしくないし。だから、何が言いたいのかというと……、いい先生じゃなくていいんで、いい人間になってください》

山路は《ゆとり教育を受けた結果、学力が低下して社会問題になりました》と、学習障害を持つ児童への理解を深めるため、自らゆとりを題材にした“授業”も。

《長所はあるんです。他人の足を引っぱらない。周囲に惑わされずベストを尽くす。個性を尊重する》

 劇中では“大人”の目線として、坂間の得意先会社の年配男性社員・野上(でんでん)によるジェネレーションギャップ、またゆとりに対する理解も徐々に描かれ始めている。

《顔覚えて、飯食いながら冗談言いあって、“そんなら試しに買ってみるか”。それが営業じゃない!? そういう考えはもう古いかね?》

《認めてほしいんだよな、要するに。オレらもそうだったろう? 若いころ。たださ、褒めるだけが認めるじゃないよな? たたく、しかる、怒鳴りつける、ぼてくりこかす、泣かせる、謝る、おごる、からむ、ぼてくりこかす、ほっぺた舐める、これ全部認めるってことだろ?》

「ペーパーテストや運動会など露骨な、客観的な形で勝つという体験をしていない人がわりといるわけです。負けてビリになってみじめな思いをしないかわりに、勝って誇らしい体験もあまりない。ある意味、周囲から認めてほしい欲求もある世代でしょう」(和田氏)