「宮内庁庁舎3階にある長官室の扉には、シャッターが下ろされ衝立を設置。扉越しに室内での話を聞かれるのを防ぐためか、記者からの取材攻勢を避けるためだと思います」(宮内庁関係者)

 日本を揺るがした“退位”報道の素朴なギモンにお答えします!

■天皇誕生日はどうなるの?

 現在は12月23日が天皇誕生日。退位後はどうなる?

「皇太子が天皇になれば、天皇誕生日は2月23日に変わり、祝日になります。明治天皇の誕生日は大正になって祝日ではなくなりましたが、昭和に“明治節”として復活しました。

 昭和天皇の場合は“みどりの日(現・昭和の日)”として残ったので、12月23日も違う名前にして残る可能性が高いと思います」(日本政治思想史が専門の放送大学教授・原武史さん)

皇室典範改正で他の法律は変わる?

 “生前退位”の規定を皇室典範に盛り込むことで、他の法改正も必要になるのだろうか。

「相続税、贈与税などの規定である相続税法は改正する必要があるでしょう。皇位とともに伝わる三種の神器などは相続税の非課税財産になっていますが、贈与税の非課税財産にはなっていません。

 生前退位となると相続ではなく贈与になると考えられますので、贈与であっても非課税財産とする必要があります」(皇室ジャーナリスト・山下晋司さん)

■皇太子家と秋篠宮家のお住まいは?

 生前退位が行われると、両陛下、皇太子家、秋篠宮家のお住まいはそれぞれ、どこに移るのか?

「退位した両陛下は、現在の御所にそのまま住まわれると思います。新天皇と皇后は、昭和天皇と香淳皇后が生活していて現在は空き家となっている吹上大宮御所をリフォームか建て直しをしてお住まいになるのではないでしょうか。

 秋篠宮ご一家は皇太子家的な立場になりますし、現在の秋篠宮邸は老朽化が進んでいるので、皇太子ご一家が住む東宮御所に移られる可能性があります」(宮内庁関係者)

■『新年祝賀』や『歌会始』には出られる?

秋に行われる宮中祭祀に参列される天皇陛下('13年9月)
秋に行われる宮中祭祀に参列される天皇陛下('13年9月)

 元日に両陛下や皇族方が新年の祝賀を受けられる『新年祝賀の儀』や国民の和歌も披露される新年恒例行事の『歌会始の儀』には、退位後も出席されるのだろうか。

「過去にそういった事例があるので、出席されると思いますよ。大正の貞明皇后が皇太后になったときも、ずっと歌会始には出ていました」(前出・原さん)

■両陛下の公務は今の皇太子ご夫妻が?

 宮内庁HPによると、6月だけでも両陛下合わせて70件近くの公務をこなされている。それらの公務は、どなたが引き継いでいくのだろうか。

「現在の両陛下は私的なものを除いてほぼ引退の状態になり、次の天皇と皇后がその公務を引き継がれることになるはずです。

 三笠宮家や高円宮家などの皇族方には引き継がれないと思います。現在の皇太子家的な立場になる秋篠宮ご一家が皇太子ご夫妻の公務を引き継がれます。秋篠宮家が担われてきた公務は、そのまま眞子さまや佳子さまや悠仁さまが分担されることになると思います」(前出・宮内庁関係者)

■「摂政」を置くという選択肢は?

晩年には"摂政を置くほうがいい"と漏らしていたという昭和天皇
晩年には"摂政を置くほうがいい"と漏らしていたという昭和天皇

 天皇が精神・身体の重患や重大な事故によって国事行為を自身で行えなくなった場合に天皇の名で国事行為を行う人を立てる“摂政”制度。今回は、採用されないの?

「現天皇は、すっぱりと譲位するのを望んでいると思いますよ。摂政については大正時代に事例があります。大正天皇が精神疾患になってしまったので、当時の皇太子(後の昭和天皇)が摂政になりました。

 じつは、昭和天皇も闘病生活を送っていた最晩年には“摂政を置くほうがよいのではないか”という意向を侍従に示していたこともあったそうです」(前出・原さん)