努力することは、ダムのようなもの
少しずつ少しずつ、気の遠くなるような努力の積み重ねで14年が過ぎた。最後の1年をかけて練習した曲は、坂本九さんの『上を向いて歩こう』。涙がこぼれないように上を向き、自分を信じ続けたことで、再び歌声を取り戻した。いちばんのきっかけを聞くと、自分でも明確なものが言えないと語る。
「ダムにたとえると、堤がそびえ立つ側から見たとき、水かさが増していっているかどうかは、わかりづらい。それは、頑張っても、頑張っても成果が見えてこないことと同じで、目に見えないから途中であきらめてしまう人がいるんだと思う。
14年の間に、スタジオの中でマイクやラジカセをぶん投げてしまった日もあったし、客観的に自分を見つめる日もあった。いろいろなことを経験してきた。子どもの存在や、仲間との再会で支えられたこともあった。
でも、どんなに周りに支えてもらっても、自分で歩かないと水かさは増していかない。そして、水があふれたときに、初めて結果というものが見えてくる」
ダムの水が増していることを信じられず、しんどいときもあったと言う。でも、やめなかった。
「欲しくもないハードルを背負わされることは、人生の中でいっぱいあると思う。やってもやっても、うまくいかない。目指す場所にたどり着かなくて不安に襲われることもある。
でも、1歩も進んでいないように見えて、努力することで、ちゃんと水かさは増えているんです」
14年の間に、歌えるようになったら、歌を歌うこと以外の何かにも挑戦するかもしれないなと思ったこともあったそう。それが、9月27日に東京国際フォーラムで開催される『BACK TO THE GOOD DAYS【男祭り】』の企画につながっている。