死ぬまで青春を歩く自分であれたらいい

「声が出なくても、歌っている自分以外想像できなかった」と語る森友嵐士 撮影/坂本利幸
「声が出なくても、歌っている自分以外想像できなかった」と語る森友嵐士 撮影/坂本利幸
すべての写真を見る

 小野正利、KATSUMI、サンプラザ中野くん、杉山清貴、中西圭三、山根康広といった、'90年代に、誰もが口ずさむことのできるヒット曲を生み出してきた最強アーティストが集うスペシャルコンサートを開催するという。

 この企画を立ち上げるいちばんのきっかけになったのが、3年前のある出来事だった。

「10代のころから同じように音楽をやっていた地元・広島の仲間がいるんです。僕はプロになり、ドラマーだった彼は別の仕事についた。それから何十年もたって食事をしたときに、“最近、どうなのドラム?”って聞いたら、“プロになれなかったから、楽器は押し入れにしまったまま”って。

 わかるような、わかりたくないような気持ちだった。あのとき、プロになりたいだけでやっていたわけじゃない。純粋に音楽がすごく好きで、楽しかった。それを続けないのは、もったいないって話をしたんです。そうしたら、彼の顔色が変わった。

 次に、飲もうよって電話をしたら、“忙しい”って断られて。何やってるの? って聞いたら、バンド始めたって言うんですよ」

 いまでは、広島でかなりの集客ができる有名なバンドとなっているそう。

「きっかけひとつで、まだまだオレたちは、いろいろなところへ行けると思った。

 青春っていう2文字がありますが、ある大先輩から“嵐士、青春ってなんのこというかわかるか?”って質問されたんです。青春って10代のあれですよねって言ったら、“人はよく、年齢のある時期だというけれど、青春というのは心のあり方。60歳であっても挑戦や好奇心を忘れなければ、青春なんだよ。

 一生、青春のままのヤツもいるし、若くても年老いた老人のような生き方をしているヤツもいる。おまえはどっちがいいんだ”って」

 もちろん、森友は前者だ。

「死ぬまで青春を歩く自分であれたらいいなと思う。イベントに参加してくれるアーティストの方も、お客さんとして参加してくださるみなさんにも、そうあってほしい。しかし、口に出すと恥ずかしい言葉ですね(笑)」

 そうテレ笑いを浮かべる。