娘の老後資金は年金額に要注意
次は、娘の老後だ。いくらぐらいあれば、安心して暮らしていけるのだろうか。「老後に必要なお金の考え方は、親世帯と同じ」と栗本さん。つまり、最低限の生活費と受け取れる年金の見込み額を考え、同じ流れで計算すれば出てくるというわけだ。
ただし注意したいのは年金の額。「娘さんの年金加入状況によっては、親世代より受取年金額が少ない可能性も。その場合、遺産などで経済的な補塡を考えてあげることが必要でしょう」(栗本さん)。忘れがちなのが、住居にかかる費用だ。ひとり暮らしだと家賃が必要となり、一方、親と同居の場合は家賃はないが、実家の修繕費やリフォーム費用がかかってくることも。
また、生涯独身の場合、介護費用は施設介護が前提となる。具体的な金額と計算をしていくとひとり暮らしで生活費は月15万円、年金は月額8万円ぐらいが見込める場合は、7万円が不足額なので、65歳〜90歳の25年間では生活費だけで2100万円が必要。ここに医療費、介護費、自由に使いたいお金などを加えていく。
そして、親にも娘にも共通する注意点として栗本さんが挙げるのが、「50歳ぐらいになったら、将来の年金見込額をイメージし、その範囲で生活費を賄う習慣を作っておく」こと。日常生活をすぐに変えるのは難しいもの。習慣を変え、備える姿勢を、親の背中から学んでもらうことも大切だ。
介護については今すぐ話し合いを!
マネープランに加え、親の老後について、親子でよく話し合っておくことも、備えのひとつ。優先して話し合っておくとよいことは?
「親である自分たちが倒れてしまったり、認知症などで判断能力がなくなった場合に、どうしてほしいのかの希望です」と、栗本さん。とくに、介護については自分がどうしてほしいかをはっきりと伝えておくこと。施設介護を希望する場合、すぐに入居できないときはどうするかを考え、兄弟がいるなら子ども同士に共有させておく。
こうした話題を、病気になったら話そうと考えている家庭も多いもの。しかし、親がある日突然倒れてしまうこともありうる。栗本さんは「この機会にすぐにでも話し合ってください」と警鐘を鳴らす。
とはいえ、親世代も子世代も切り出しにくいのがこの話題。そうした場合、テレビで老後の問題が取り上げられることがわかっていれば、それを一緒に見る、この記事のような雑誌特集をきっかけにするなどがおすすめ。話し合いやすい場を意識して作ろう。