さらに、世に名高い「桶狭間の戦い」が起こると、今川軍本隊として参戦していた父・直盛が戦死。直親が二十三代当主となり嫡男・虎松(のちの直政)が誕生したことで一件落着と思いきや、この継承に異を唱える人物が。名を小野政次。そう! 因縁深き小野政直の嫡男であり、2代にわたって井伊家のお家事情を混乱させた天敵が立ちふさがるのだった!

 桶狭間で義元を失った今川家に対して、台頭著しい松平家(家康)。揺れ動く遠江の中にあって、井伊家の舵取りは頭を悩ませるものだった。そこに目をつけた政次は、今川家当主・氏真に直親が裏切って松平家につこうとしている」と再びありもしないことを密告! 結果、直親は誅殺されるというデジャブのような悪夢を繰り返してしまう。

 跡継ぎである虎松はまだ2歳。このままでは今川・小野のオモチャにされ、お家断絶も覚悟しなければならなくなった井伊家。さあ、この絶体絶命のピンチをどう乗り切る!?

お家断絶の危機を救った女領主「井伊直虎」誕生

直虎をめぐる井伊家家系図(略図)
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 今川か? 徳川か? もめる家中では内紛が起こり、虎松の後見役であり二十代当主だった直平は戦中に亡くなり、昵懇(じっこん)の仲であった新野親矩をはじめ多くの家臣も戦死。おまけに政次は執拗(しつよう)に虎松の命を狙う。龍潭寺の住職・南渓和尚虎松を三河の鳳来寺へと匿(かくま)うも、危険にさらされる虎松に対し井伊家は、虎松の母・しのを再婚させることで一時的に虎松から井伊姓を捨てさせることを決断。

 ついに井伊の名を継ぐ男性が途切れ、当主不在の異常事態に陥る井伊家。そこで南渓和尚は「出家していた次郎法師虎松が当主になるまでの中継ぎとして暫定当主にする」という起死回生の策を提案! 白羽の矢が立った次郎法師は「井伊直虎」と名を改め「男」として表舞台に帰ってくることに。まるで『リボンの騎士』のサファイアや『ベルサイユのばら』のオスカルのような展開! 

 さらに直政を養子に迎えることで、エリート教育を施す養母としての才も発揮していく直虎。母・しのとの対立を乗り越え、お家断絶回避のため一枚岩となっていく直虎だったが、氏真&政次からの嫌がらせにも似た圧力は続き、居城・井伊谷城を失ってしまうのだった……。

※後編(1月15日12:00公開)に続きます。