「愛子さまがお生まれになったときも、お祝いでタイ王室を通じてスリン県のゾウ2頭が上野動物園に寄贈されています」
と話すのは、タイ王室に詳しい京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科所属の櫻田智恵さん。
ニワトリやナマズなどの研究で、たびたびタイを訪問される秋篠宮さま(51)の存在も知られているという。
王室だけではなくタイ国民も、皇室に親しみを持つ理由を前出の櫻田さんが続ける。
「両陛下が被災地に行って、ひざを突き合わせて、お見舞いする映像はタイでもよく取り上げられます。プミポン前国王と重なるものがあり、好感を持たれているのだと思います。
前国王が国民から支持されていた理由は、大きく分けて2つあると言われています。
ひとつは地方訪問が多く、国の隅々まで目を配って国民と触れ合ってきました。
もうひとつは、その際に見聞きしたタイ国民の困窮を解消する前国王発案の“王室プロジェクト”が多く、国王への寄付金から捻出されていたので、国民に支持されてきました」(櫻田さん)
そんなタイ王室と皇室の“絆”の原点は、50年以上前の「淡水魚」と「民族衣装」という色鮮やかな「思い出」にさかのぼる。
'64年に両陛下がタイを訪問された際に、水産研究所を視察したときのエピソードを前出の小林さんが明かす。
「当時、タイ国民の動物性タンパク源として研究されていた淡水魚の『ティラピア』を陛下がご覧になったときのことでした。
陛下が“違う種類のティラピアのほうがタイ(での繁殖)には適していますよ”とナイル種のティラピアを進言されたそうです」