「お芝居に出会ってなかったら、今の私はどうなっていたのかなって思います(笑)。最初は楽しいとか考えられませんでしたが、実際に始めてみると演技は私にすごく合っているなって。
いろんな感情とか感じたことを、演技という形を通して表現するというのが、いま思うと不思議なくらい違和感なくできたんです。なので、演技の勉強をしなきゃとか考えたことがなかったですね」
大河ドラマ『真田丸』では、家康(内野聖陽)の最愛の側室・阿茶局を見事に好演。ドラマのみならず昨年末はディナーショーを行うなど、仕事に対して精力的に挑戦を続ける斉藤由貴。
家族が応募した『ミスマガジン』('84年)でグランプリに輝いて芸能界入りし、現在50歳。経験を積んで輝きを増し再ブレイクした彼女に、これまでを振り返ってもらった。
「私は、芸能人になりたいとは思ってなかったんです。演技も学芸会で主役を務めるようなタイプでもなかったし、絶対向いてないと思った(笑)。でも、思いがけずにこの仕事をやることになったら、両親がすごく応援してくれて。17〜18歳のころでしたが、それまでは“とらえどころのない子だし、将来どうするんだろう”って私に不安も感じていたと思います。だから、仕事が見つかって、“ああよかった”ってたぶんホッとしたと思います(笑)」
デビューした彼女は、いきなり転機となる作品に出会う。
「まずは朝ドラですね。『はね駒(こんま)』で長い時間をかけて、ひとりの人生を演じ切ったのは大きな経験になりました。
あとは『スケバン刑事(デカ)』。自分の好き嫌いと、お仕事としての周囲からの評価は必ずしもリンクしないんだなっていうことを、若いころに学んだ作品でした」