震災が人口減少に拍車をかけた
岩手県大槌町。「復興住宅はまだ半分しかできていない」と話すのは東梅守町議。町によると、2月末で予定戸数は916戸。完成したのは約46%、入居率は約45%だ。
「山林が多いために用地取得の問題がある。なるべくもと住んでいた地域内で、ということもあります」
津波浸水エリアの市街地については、市街地は盛り土がなされ、区画整理のあとには住めるようにする。
「6年がたち、まだ家が建てられないとなると、あきらめて復興住宅への入居を選ぶか、町外の内陸部に住むという人も出てくる」
人口減少も課題だ。人口は1万2000人弱となり、最盛期の55%程度。震災が拍車をかけた。これは被災地全体の問題でもある。
「高校卒業後、若者たちが出ていくのはしかたがないが、戻りたくなる形をつくらないといけない」
若者たちがUターンしたり、移住できたりする環境づくりが求められている。仕事の創出や既存産業の支援も必要だ。
「震災前にもともとあった会社に対して、支援があってもいいのではないか」
人口が増えない中で通勤・通学、観光客などの交流人口の増加に期待がかかるが、例えば三陸道が開通すれば、被災地と都市圏との距離が近くなる一方、通過されてしまう可能性も。
「余計に外に遊びに出ていくのではないか」
町には観光の要素はある。『人形劇 ひょっこりひょうたん島』のモデル・蓬莱島だ。震災で水没したが、弁天様は流出せず、復興のシンボルとなった。さらに室町時代に築造された大槌城跡もある。江戸時代には南部藩は代官所を置いたが、三陸沿岸では宮古と大槌の2か所。跡地には震災に耐えたイチョウがある。
「起爆剤はいらない。他地域から来ていた応援職員が地元に戻ったら、応援先のよいところを伝えてほしい。田舎の生活でのいいものを気づかせるようなおもてなしイベントや、体験型の観光をしていくといいのではないでしょうか」
町の再生は個人差、地域差が目立ってきた。被災地の行政職員も疲れが目立つ中、復興予算をうまく使いこなす環境整備が必要だ。