「人生は、途中からじゃ変えられねぇーってことだよ! 絶対、無理なんだよ!」

 これは、TBS系ドラマ『下剋上受験』の中で、中卒の父(阿部サダヲ)が叫んだセリフである。小5の愛娘も落ちこぼれだったが、「佳織は、まだ間に合うから……」と、親子で最難関中学に挑んだ感動の実話だ。

 このドラマよりも話題になったのが、芦田愛菜ちゃんの名門女子中学合格だろう。ただでさえ芸能活動で忙しいはずなのに、どうやって最難関校に入れたのか。子を持つ親ならば誰もが関心を持つところだ。

 それにしても、子供の教育が重要であることは言うまでもないが、中学受験というのは早すぎではないか。遊び盛りの子供たちが、遅くまで塾に通い、家では勉強漬けである。なぜ、そこまでして中学受験に駆り立てられるのか? 実は、中学受験が人生に及ぼす影響は、まったく侮れないのである。

東京都の中学受験進学率ランキング(1〜21位)。このほか「すべての写真」をクリックすると22位以降が見られます

 東大合格者数(2016年)で断トツ1位の開成は、その生徒たちの7割以上が中学からの入学者だ。同じく3位の灘、5位の渋谷幕張では、その比率が8割以上にもなる。それどころか、灘と肩を並べる麻布を始め、トップ10に入る聖光学院、桜蔭、栄光学園、駒場東邦は、高校からの募集がない完全中高一貫校だ。

 おわかりだろう。東大の合格者に関しては、中高一貫校が圧倒的なのである。そして、その中高一貫校への切符をめぐって、早くも小学生の間で戦いが繰り広げられるのだ。

 もちろん、小学生のうちから東大にこだわる家庭は稀だろう。しかし、高校受験の労力を省き、充実した中高生活を過ごし、大学受験の準備も十分にできるため、中高一貫校は人気を集めるのだ。子供にまったくやる気がなければ仕方がないが、そうでなければ、親子で中学受験に挑む価値は大いにある。

 中学受験というのは、東京などの一部の地域を除いて一般的なものではなく、その実態は広く知られていない。しかし、知らぬ間に、子供たちの将来に関わる競争が始まるのである。しかも、中学受験の準備は小4から始めるのが一般的だ。