エレファントカシマシ・宮本浩次 撮影/佐藤靖彦
エレファントカシマシ・宮本浩次 撮影/佐藤靖彦
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――過去にインタビューで“苦手だ”と、語っていたことのあるラブソング。やりたいことの中には、ラブソングを作ることも?

「『やさしさ』っていう曲を16歳ぐらいのときに作って、この曲が本当にいいラブソングだと思っているんです。今回のアルバムにも入れたかったんだけど。でもね、例えばユーミンの『翳りゆく部屋』(ベストアルバム収録の唯一のカバー曲)みたいな曲をオレに作れるのかな? 

 いつもラブソングって作りたいと思っていて『今宵の月のように』を作ったとき、ドラマの主人公が江角マキコさんだから、女性の歌を作ってくれと言われたけど、完成したら男の歌になっていた。素晴らしい歌だって評価してもらえたのと同時に“宮本くんは母性の強い女の子にしか訴えかけないから、ふつうの女の子にも聴いてもらえるラブソングを作れたらいいね”って言われたんです。いつも憧れているんだけど、本当の意味でのラブソングって作れるのかなと思っちゃうんです。ちょっと悩みの種でもあるんだけど。作りたいですよね、究極のラブソングみたいなものを。向いている、向いていないは別として。

 理想とする恋愛のイメージはありますけど、でも、これはべつにウソじゃなくて夢物語の中でしか、そういうものは存在しない気がします。理想の世の中がいつまでたっても現れないのと同じで。理想の女性も、夢の中の世界のことかもしれない。

 これ、別にカッコつけているわけでもなんでもなくて、本当にいいコンサートができたり、いい歌ができたと思った瞬間以上のよろこびが、この世の中にあると思えないのね。

 助けてもらいたいとか、優しくされたいとか、傷を癒してもらいたいとか、楽しい時間を共有できたりとか、そういうパートナーって絶対に必要だと思う。でも僕にとっては、スポットライトを浴びたあの、さいたまスーパーアリーナで1万5000人の前で歌って、みんなが“ワー!!”って言ってくれる歓声以上の快感がこの世の中にあるんだろうかと思ってしまう。すみません。すごくまじめに答えちゃった。(テレながら)ハハハ」