ひとまず安心するところだが、過去には中国で床に落ちたものや、古くなった鶏肉、“段ボール肉まん”などを製品として輸出していたという事件も起こっている。
このような「食品偽装」を見破ることは難しいと話すのは、『これを食べてはいけない』(三笠書房)などの著書がある食品ジャーナリストの郡司和夫さん。
「偽装されている食品を見極めることは非常に難しいです。偽装の手口でいちばん多いのは、世界的に禁止されている古い肉や病死肉を新しい肉に混ぜたり、新鮮に見せかけるために添加物で着色させる方法です」
なぜ世界規模で「食品偽装」が横行してしまうのか。
「賞味期限切れの肉を売却できれば儲けられますし、何十年も前の肉でも“冷凍保存しているから大丈夫”という感覚で使われることがあるのです」(郡司さん)
なんとも腹立たしい話だ。“食のモラル”が破綻している業者もいる中で、われわれはどんなことに気をつければいいのか。日本国内については、
「食肉の安全性を担保するには、輸入している会社や各飲食店などがしっかり調査することが大切です。現地の情報を得るためにマメに生産地に足を運んだり、駐在員のしっかりとした監視が必要になるかと思います」(郡司さん)
一般の消費者が、飲食店や食品を扱う店を訪れた場合について前出の椎名さんは、
「生産地が明記されているものや、高くても国内産の鶏肉を使っている飲食店を選ぶことが大切です。日本人の感覚が“安くて美味しいことが当たり前”になっているように感じられます。結果的に抗生物質を投与しているような安い食肉を選んでしまう傾向がありますが、身体のことを考えて安心できる食材を購入してほしいです」
郡司さんも生産地が把握できるものを推したうえで、
「結局、最後は消費者の判断にゆだねられるので、生産地がわかる食材、安心できるお店で食事することが大切です。
長年続いている企業のHPなどを見て、あらゆる情報を公開している会社や飲食店を選んでほしいです。例えば、“どんな飼育方法で育てられた肉なのか”などが細かく記載されているかなどですね」
身体の中に入る食材なだけに「食の安全」を確保するためには“自分の目”を養うことも必要不可欠なのだ。