【3】“できた”体験につながる脳内検索ワードを増やす

 ポジティブな言葉を口にすると、いい循環が生まれるとよく言われますが、実はそうではないのです。言葉は、脳内の検索ワードとして機能し、この言葉に結びついた過去の体験を引き出すきっかけになります。ただし、どれだけポジティブなことを口にしても、今まで達成できていないことだと脳は何をしていいのかわからず、ショートしてしまいます。

 そのため110ページで触れたように、高すぎる目標はやめ、実現可能で具体的な目標を立て、小さな成功を得ることが大切! その体験を導き出す検索ワードを増やすことで、脳は次に何をすればいいのか効率的に把握していくというわけです。

【4】家事や仕事の難易度を数値化し消費エネルギーを体感する

 日々、自分が行っている家事や仕事のレベルに応じて難易度を数値化してみましょう。皿洗いは1、お弁当作りは4、資料作成は7というように、自分が行っている作業に数字をつけてみると、難易度1だと思っていることが意外になかなかできてなかったりすることに気づいて、意識が変わります。

 そして、難易度をベースに、スケジュールを組んでみましょう。脳というのは、基本的に1つのことしかできないため、複数のことを同時間帯にすることは、必要以上に負荷をかけます。難易度の低いものと高いものをどう配置するかが鍵。難易度の高いものを連続で並べれば、そのぶん脳の消費エネルギーも多くなり、その次に配置していた難易度1ですらできなくなってしまうことに。数値化することで、脳は「面倒」ではなく「難易度2に取り組む」というスイッチが入りやすくなります。

<教えてくれたひと>
菅原洋平さん
すがわらようへい/作業療法士。ユークロニア代表。民間病院精神科を経て、国立病院機構で脳のリハビリテーションに従事。現在、ベスリクリニック(東京都千代田区)で外来を担当する傍ら、企業研修を全国で展開し、その活動はテレビや雑誌などでも注目を集める。『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)、『すぐやる! 「行動力」を高める“科学的な”方法』(文響社)をはじめ著書多数。