最初から限界を設定しないで

東大の門の前で
東大の門の前で
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 さらに、偏差値29から飛躍的に偏差値を上げた杉山さんが重要視するのは「暗記」です。

数学の問題でも、考えて解くことはしません。私は基本例題の解き方を丸暗記しました。数学が苦手な人は、数学って考える教科だと思っているんです。

 でも受験数学は出るパターンが決まっているから、パターン暗記したほうが効率的なんです。パターン暗記で理系の大学の数学でもわりと解けてしまう。そして覚えることで理解は後からついてきます。

 問題が解けるようになれば、自信もつきます。時間がない受験生がムダな試行錯誤をする必要なんてありません。もし学校で渡された問題集に回答冊子がなかったら、書店で同じものを注文して、回答冊子をこっそり手に入れてしまっていいんです。そしてパターンを暗記してください」

 そのための暗記法として、『コミック版 偏差値29からの東大合格超勉強法』では、「チラポイ法」や「書き殴り法」などを提唱しています。「チラポイ法」を使って、ハーバード大学に特待生で受かった人もいるのだとか。

 東大を目指す受験生とその親御さんに伝えておきたいことは、と聞くと、

「え〜、東大なんかムリだよと、最初から限界を設定しないでほしいです。もう少し普通に東大に入ることをイメージしてもらいたい。例えば、名門の灘校の学生たちなんかは東大に入るのが当たり前の環境じゃないですか。だから気負わずに東大に入るものと考えている。そうして実際に入ってしまう。

『コミック版 偏差値29からの東大合格超勉強法』(杉山奈津子=著 本体1000円+税 主婦と生活社刊)*画像をクリックするとamazonの購入ページにジャンプします

 子どもが東大を志望したら、親のほうも、あ、そうなのって感じで普通に受け止める環境づくりが大事だと思います、特別に気負ったりしないで。

 私が今までに書いた東大合格のための本は、わりと親御さんから読んでいただいていたんですけど、この本は受験生に読んでもらいたいと思っています。もし親御さんがお子さんに読ませたい場合は読みなさい! と強制せず、面白そうだから読んでみたら? ぐらいの感じですすめてもらえたらいいと思います」

<プロフィール>
すぎやま・なつこ 静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業。作家・イラストレーター・心理カウンセラー。高校では劣等生だったが、独自の勉強法を確立し、東京大学に合格。卒業後は、勉強法などをテーマに執筆や講演活動を行っている。