50代で結婚。ますます光り輝く
乳がん手術後、約1年間の療養生活を乗り越え、2007年に職場復帰した里岡さん。復帰した1年後には、身だしなみが整い、他のCAのお手本になる人が選ばれる「第1回アピアランスリーダー」の20人の中の1人に選ばれた。その他、ANAの代表として初めての出版の機会にも恵まれるなど、活躍の場はますます広がった。
しかし、2010年にはANAを退社する。
「病気になったおかげで、これまで走り続けてきた人生を見直すきっかけが生まれたのです。何か新しいチャレンジをしてみたいと思いました」
以後7年で、ANAで培った経験をベースに接遇のプロとしてコンサルティング、コーチング、講演会などの分野で活躍。一般企業や医療機関などで、接遇研修やコミュニケーションスキルアップのアドバイスなども行っている。著書も11冊目を執筆中だ。
ANAの元同僚で、現在はアシスタントとして里岡さんを支える小佐野貴子さんに、彼女の仕事ぶりを語ってもらった。
「仕事に対するプロ意識を強く感じます。講演会では、 “お客様は、里岡美津奈という商品にお金を出して買ってくださったのだから” と全力で臨まれます。毎回ご好評をいただき、次のご縁をいただくこともよくあります」
もうひとり、2013年から里岡さんのパーソナルスタイリストとして、TPOに合わせたファッションを提案している、みなみ佳菜さんにも聞いてみた。
「 “ま、いっか” が一切ない真のプロフェッショナル。お仕事で着るお洋服を選ぶ表情は真剣で、講演を聴きに来てくださるお客様や、クライアントへの思いにあふれています。講演の対象者が経営者でも、若い女性でも、どちらもかなり盛り上がるのがすごいと思います」
プライベートでは独身を貫いてきた里岡さんだったが、昨年11月23日、モータージャーナリストの宮城光氏と結婚。全日本選手権、全米選手権でチャンピオン歴のあるレーサーだ。
趣味で二輪の免許を取得した里岡さんは、ある日、友人のANAパイロットに誘われて宮城氏によるバイクのプライベートレッスンに出かけた。ここで2人は運命の出会いを果たす。宮城氏は、初めて会ったときの里岡さんの印象をこう話す。
「彼女がいるだけで、場の雰囲気がパッと華やかになりました。上品なのに、抜群に明るくて元気。ノロケみたいな言い方になりますが、 “天使のような人だ” と思いました」
2人は友人期間を経たのち、2年の交際期間を経て結婚した。宮城氏は、その決め手をこう話す。
「行ってみたかったところ、やってみたいことなど、これまでの人生でやり残したことを彼女と一緒なら楽しめると思ったからです。CAの仕事を通して培われたのか、僕がしてほしいことを先読みして行動してくれる。そのさりげない気配りも心地いいです」
生涯の伴侶を得て、ますます輝きを増した里岡さんは、今日も「今、この瞬間を精いっぱいに生きる」ことの大切さを説き続ける。その喜びを噛みしめて。
取材・文/三浦たまみ