「空気が読めない発言や動きをする」人や「予定も持ち物も人の名前も、ぜんぜん覚えられない」人、「キーボードを打つのは速いのに、文字を書くのが苦手」な人……これら全員、発達障害の疑いあり? “特性”なのか“障害”か、その線引きは?
そもそも発達障害とは
近年、“発達障害”という言葉を見聞きする機会が増えた。しかし、実態についてはよく知らない人が多いのでは?
そもそも発達障害とは? 精神科ナースや医師たちによるプロジェクト『ぷるすあるは』のスタッフで、臨床心理士の緒方広海さんが解説する。
「もって生まれた脳機能の障害で、発達に偏りや遅れがあります。生来の特性なので、もち続けたまま生きていくことになり、その特性によって人とのコミュニケーションや社会活動への参加で悩むことが多い。ただ、いろいろな工夫で支障がなくなるものもあります。
発達障害は大まかに3つのタイプに分類されますが、特性は人それぞれ違い、複数のタイプを併発している人も。また、一般の人と発達障害の人の間には境界線が引けずグラデーションでつながっていて、わかりにくいのが難点でもあります」
3つのタイプの特徴や傾向を見ていこう(※同じタイプでも、特性のあらわれ方はさまざまです)。
【自閉スペクトラム症/ASD】
こだわりが強く、毎日同じ服を着たり、同じものを食べたがる。場の空気を読めずに行動するので、ときどき周囲から冷た~い眼差しが。
〇 たとえ話や冗談が通じない
〇 相手の表情や仕草からのサインを読み取れない
〇 特定の物事に強いこだわりがある
〇 急な予定変更を嫌う
【注意欠如・多動症/ADHD】
大人になると注意欠如のトラブル頻発! 大事な物をなくしたり、うっかりミスをしたり。何度も同じ失敗をするので、怒られてばかり。
〇 物を忘れたり、なくしたりすることが多い
〇 時間が守れない
〇 じっと座っていられない
〇 予測をせずに行動する
〇 物事に集中して取り組めない
【学習障害(限局性学習症)/LD】
IQは低くないのに特定の能力だけ実行困難……。計算だけが全くできない、文字が書けない、書いても鏡文字になるなど困難はいろいろ。
〇 本など長文を読むのが苦手
〇 文字を書くのが苦手(鏡文字になったり、枠に収められないなど)
〇 計算ができない