緊張が緩んだのか、背もたれに寄りかかり、質疑に答える場面も

「今年、成人式だった子にいまさら着物を返しますって言われても間に合わない。うちも、はれのひの振り袖はいりません」

 『週刊女性』が1月30日号で話を聞いたはれのひ被害者の母・小島真弓さん(仮名)は怒りに震える声でそう答えた。小島さんは来年成人式を迎える娘のために、同社で振り袖をレンタル契約していたのだ。

 成人式当日、レンタル振り袖会社「はれのひ」の振り袖が届かず、神奈川県横浜市や東京都八王子市などで大騒動となった事件から18日。消息不明だったはれのひの篠崎洋一郎社長がついに現れた。

 同社が横浜地裁から破産手続きの開始決定を受けた26日、横浜市内の貸しホールで謝罪と経緯説明の会見を行った。

 同席した弁護士によると、被害総額は約6億~11億円、債権者は新成人ら1600人以上にのぼる。

 今後、購入してもらった着物は持ち主に返却するというが、代金の一部未払いやレンタルの顧客は該当しない。

「レンタルの方でも販売している着物の金額との差額を払えば買い取れます」(弁護士)

 同社が所有する着物などは売却、配当されるという。しかし、債権者には取引先や従業員も含まれており、購入・レンタル料の返金は不透明だ。

 神妙な面持ちで会見に臨んだ篠崎社長は「直前まで業者らと交渉しており精いっぱいやった。もっと早くみなさんにお知らせしていたら最悪の事態にはならなかった」と釈明を続け、「ギリギリまで粘った」「悪意があったわけではない」と何度も強調した。成人式当日、悲しみと怒りに震えていた女性たちがいたのに、だ。

 同日、社長は神奈川県内の知人宅で“待機”していた。

「ことの重大さはわかっていたが、どのように対応したらいいのかわからなかった」

 と明かし、顧客への連絡や早めの謝罪などやるべきことをやらなかったことを「心の弱さ」と何度も繰り返した。

 会見の一部始終をネットで視聴していたという被害者の父・慎吾さん(仮名)は、

“直前まで交渉”“業者に断られた”“従業員が辞めた”とか、自分のせいと言いつつ、他人を引き合いに出してそっちに責任があるように言っているように感じた

 手塩にかけて育ててきた娘の「晴れの日」、成人式の振り袖姿ほど親にとって感慨深いものはない。篠崎社長にもまだ小さい娘がいる。

 『週刊女性』が「もし自分の娘が被害に遭ったらどう思うか」と質問すると、「怒るでしょうね。……残念に思うでしょう」と答え、一方で「娘の成人式には振り袖を着せたい」とも。

 前出・真弓さんは憤る。

娘さんに責任はないかもしれないけど、自分の娘には振り袖は着させない、というくらいの覚悟が欲しかった。それくらい大変なことをしたことをわかってもらいたい

 篠崎社長も人の親。自分の娘が成人式を迎えるまでに、しでかした罪を償うことはできるのだろうか。