9月4日発売の写真週刊誌『フライデー』(9月18日号)が掲載した、人気女子アナがあられもない姿で写っている複数枚の不倫写真。誌面では女子アナの顔がモザイクで隠されているため、簡単には誰なのかを特定できないようになっているが、早くもインターネット上では、画像を引き合いに渦中のアナを推測する“祭り”が広まっている。

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画像処理ソフトで簡単にボカシを入れることができる(*この画像は『週刊女性PRIME』が作成)

 さまざまな憶測が飛び交う中で、今回、注目を浴びているのは画像処理で隠されている範囲。耳の内側・耳介(じかい)にも丁寧にボカシが入れられているとあって、ネット民の間では「耳に特徴がある人物なのではないか?」などの声も挙がっている。

 たしかに、これまで写真週刊誌や実話系の雑誌に掲載された流出画像を見ると、耳にボカシやモザイクを入れるケースは珍しい。ところが、今後は耳にもそうした画像処理をすることが、「当たり前」になるかもしれないと言われている。生体認識に詳しい一般社団法人『日本自動認識システム協会』の担当者は説明する。

「人間の耳介は複雑に入り組んだ凹凸の構造になっていて、きわめて著しい個人差があります。指紋や顔認証技術と同様に、耳形認証や耳介認証と呼ばれ、個人を特定することができます。ただ、耳介は入り組んだ構造になっているので画像の解像度によって個人を特定できるかどうかが決まります」(担当者)

 体型や服装に特徴のある人物や、髪形に特徴のある人物であった場合、どれだけ顔にモザイクがかかっていても特定される可能性は高まる。有名人ではなく、今や一個人でもリベンジポルノなどの流出問題が叫ばれているだけに、もはや顔だけを隠せばいいというわけでもなさそうなのだ。では、本人と特定できる部分を隠していなかった場合、法律的にはどう裁かれるのだろうか?

「不法行為として慰謝料の請求が認められます。自己の容貌・姿態をその意に反して撮影、公表されない人格的利益が肖像権であり、その被写体が誰であるかを読者が認識できてしまうのであれば、肖像権侵害に該当します。また、過去の裁判例では、部位を隠すだけでなく、その被写体が誰なのか特定できる文章を掲載した週刊誌が肖像権侵害に問われ敗訴したケースもあります」

 と、アディーレ法律事務所の鈴木淳也弁護士が語るように、どれだけモザイクで隠そうとも特定される要素がある以上、肖像権侵害として慰謝料の請求が認められるケースがあるという。

 一方、配慮するあまり、本来であればモザイクをかけないような部位(ホクロなど)まで隠すことで、結果的に目立ってしまい、特定されやすくなってしまうケースも考えられる。別の弁護士はこのように語る。

「仮に、人物が特定されても“モザイクをかけなければ、より簡単に人物が特定された可能性がある”という反論が成立するため、直ちに法的責任を負うということにはならないと思います」

 逆に、耳介認証を意識した画像処理が業界の常識ということになれば、以後は、それが“通常行うべき配慮”となり、措置を取らないことはそれだけ法的責任を負うリスクが高くなる、と指摘する。

 肖像権侵害となれば数百万円の慰謝料となる可能性もある。インターネットが身近になったことで、“特定する”“特定される”可能性が高まった昨今。メディアだけでなく個人も肖像権に対する意識を考え直さなければ、思わぬしっぺ返しを食らってしまうかもしれない。