はじめから簡単にできてしまう体操は飽きてしまいます。ハードすぎるとチャレンジ精神が失われます。ちょっと難しくて、楽しめるくらいがちょうどいい。その塩梅を目指して体操を考えています。「こりゃ難しいわ!」と脳が活性しているような表現とともに、笑みがこぼれる瞬間が、私にとっての体操のゴールです。
介護する人もされる人も、楽しい人生をおくる
介護生活はすべきことも増え、大変なこともあります。でも、大切な人と過ごす大事な時間です。だからこそ、お互い気持ちよくありたいものです。それには、身体と心に余裕を持つことが大切です。
仕事や育児で忙しい中、介護を行わなければならない方も多いでしょう。クタクタな身体や心に鞭打って介護していては、気持ちに余裕がなくなり、イライラしてぶつかることも増え、お互い疲れ果ててしまいます。
身体に余裕を持つコツは、介護に関する情報を、そして頼れる人がいることを知ることです。今の介護保険制度は、かなり温かいはずです。どんどん相談し、活用しましょう。
心の余裕を持つコツは、感謝の言葉です。感謝の気持ちこそ、心の潤滑油です。私も祖母が介護状態になって数年が経ちました。その間、いろいろなことがあり、大変だった日も少なくありません。でも祖母が、「ありがとう」と言ってくれる。その言葉だけで頑張ろうと思うんです。
これは介護を受ける方も同じです。「ありがとう」と言われることで、自身が存在していいんだと認めてもらえたと、うれしくなり、自分ができることはしてあげたい、と思うようになります。
感謝の気持ち、言葉にパワーをもらうのです。 「ありがとう」を伝えていきましょう。
簗瀬寛(やなせ・ひろし) 通称、ごぼう先生◎株式会社GOBOU 代表取締役。鍼灸師。社会福祉主事任用資格。1985年、愛知県岡崎市生まれ。日本福祉大学卒。大手鍼灸接骨院の勤務を経て、2014年より“喫茶店のようなデイサービス”をコンセプトとした「リハビリカフェ倶楽部 岡崎店」を運営。自社の介護事業のほか、全国各地の介護施設で“大人の体操のおにいさん”ごぼう先生として「介護予防」をテーマに講演、健康体操の普及に努める。自主制作した体操DVDは全国2000を超える施設にてレクリエーションとして導入されている。