連敗続きの就活だったが、晴れて大手・リクルートに就職。しかしたった1日で退社してしまう。
「1日で会社を辞めるって人生の汚点だから、ずっと隠していたんです。でも『波瀾爆笑』のスタッフにそそのかされました(笑)。役者になりたいと言っても放任してくれていた父親も、さすがに1日で退社したと伝えたら半泣きでした。
ここだけは絶対に使ってほしいんですが、言うまでもなくリクルートはさまざまなアイデアが出る素晴らしい会社です。あくまでフラフラしていた当時の俺がダメだっただけなので」
役者になるために、アルバイトをしながら2つの養成所に通った佐藤。しかし残念ながら両方で結果が出せず、26歳のときに再び就職することを選ぶ。
「こんどは小さな代理店を選びました。この道で頑張っていこうと、必死に働いていたから営業成績もよかったんですよ。でも、どこかで役者への道が諦めなかったんでしょうね。20代後半のときにどうしても演技をやりたくなって養成所時代の同期を誘って劇団を始めたんですよ。それが今でも続けている『劇団ちからわざ』ですね」
紆余曲折(うよきょくせつ)を経て、夢であった役者として活躍中。社会人の経験は演じるうえで役立っている?
「よく聞かれるのですが、自分ではわかんないですね。衣装でネクタイを締めるときに早いぐらいかな(笑)」
苦渋も味わってきた佐藤だけに言葉には説得力があり、8月29日付のツイッターへの投稿には、13万を超える「いいね」が。そこにはこう綴られていた―。
《10代諸君。僕もそう思っていた。「今がこんなに辛いなら大人になったらどんだけ辛いんだろう」。そうとは限らない。「大人になってからの方が千倍愉しい」。
そう思う大人は僕の周りにもたくさんいる。その悩みの種は、いつかそれぞれの花を咲かせる。頑張ってください》
「9月1日に10代の自殺が増えるというデータを知り、息子もいずれ10代になるわけで、他人事と思えず、ひとりでも将来に希望を持ってくれたらって思ったんです」
ツイートの最後を《頑張ってください》と締めたのは、こんな思いがあるから。
「頑張らないことの利点も300%認めたうえで、“頑張れ”はその人が笑顔になるよう祈りに似た思いの言葉。俺ぐらいの年の人が“頑張れ”って言うのをやめちゃいけない気もするんですよね」
<出演情報>
木曜ドラマ『ブラックリベンジ』 読売テレビ、日本テレビ系。夜11時59分~。
10月5日スタート。出演/木村多江、佐藤二朗ほか