重大な病気を宣告されたとき、“複数の治療法からベストを選びたい”という患者のニーズが高まり、日本でも浸透しはじめたセカンドオピニオン。でもどうすればよいのか、まったくわからない──。そんな読者のために正しい手続きを完全レクチャーします!

 

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 今かかっている医師(主治医)以外の医師に、第2の意見を求めるセカンドオピニオン。それによって命が救われたというケースも多く、日本でも浸透しつつある。

 とはいえ「セカンドオピニオンについて正しく理解されていない」と医学ジャーナリストの植田美津恵さんは話す。

「“今の医師が気に入らないからほかの病院で診てもらいたい”というのは、セカンドオピニオン受診とは違います。そもそもセカンドオピニオンは、医師や病院を変える目的で受けることは正しくはありません」

 第1に“主治医”ありきで成り立つ制度だという。

「医師によって意見が違うことはあるし、患者に提供できる治療法も同じとは限りません。患者にとって最善の治療を判断するために、別の医師の見解も聞いてみる。つまりセカンドオピニオンは、あくまでも意見を聞くためのもの。別の医師の意見を主治医にフィードバックして、患者と主治医で最善の治療を選択していく。これが正しいセカンドオピニオンの使い方です。

 そのため、セカンドオピニオンを求める前に主治医との信頼関係をしっかりと築いておくことが必要」

 でも“主治医を信頼できない”“治療法に不満がある”という場合は、どうすれば?

「話し合いにも応じないような医師だと今後の治療にも不安がつきまといますよね。だったら、ほかの病院を訪れて初診からやり直したほうが患者にとっていいケースもあります」

 一方、セカンドオピニオンを受けるなら、目的を明確にすることが重要。

「例えば、主治医はがんの全摘をすすめた。でも自分は切りたくない。陽子線治療を行っている病院でも意見を聞いてみたい。主治医ひとりの意見ではなく別の医師の見解も聞いて自分を納得させたい。こうした目的があれば有意義に活用できるシステムです」

 基本的にはどんな病気でもセカンドオピニオンを受けることはできる。

ただ、脳出血や心筋梗塞など一刻を争う症状のときは対象になりません。

 一般的には、がんや脳腫瘍、整形外科系の病気など多少時間の猶予があり、手術か温存か、など選択肢がいくつかある病気に利用されることが多いですね」

セカンドオピニオンの正しい手続き

「自分の納得いく治療を受けるため、セカンドオピニオンを聞きたい!」と思ったら、どう手続きをすればいいのか。病気の告知から、その後の治療に至るまでの流れをご紹介。

■重大な病気の告知を受けた

■主治医にセカンドオピニオンを受けたいと伝える
セカンドオピニオンを受けるには、主治医の承諾が必要。「私にとって大事な決断をしなければならないので、ほかの意見も聞きたい」と伝える。

■主治医からセカンドオピニオン先を紹介してもらう
自分の希望の病院があれば主治医に伝え、なければ主治医に紹介してもらう。できれば、主治医と異なる診療科の医者をリクエストするとよい。

■セカンド医師の治療方針を聞く
セカンド医師を訪ねて、主治医から提供されたデータをもとに意見を聞く。まず主治医の治療方針を伝え、“自分が望む治療法”があればそれも伝える。

■結果を主治医に報告
セカンド医師から提案された治療法を主治医にフィードバックする。セカンド医師から直接、主治医に文書で報告してくれるケースもある。

■治療法を決める
主治医の見解とセカンドオピニオンを比較して、より適した治療法を選択する。素人では判断が難しいので、主治医と相談して決めるのが大前提。
※治療法の相違があったら医師同士で相談
治療方針が大きく異なる場合は、医師同士で相談して方針を決めてもらう。ただし、自分が“セカンド医師の治療法を選択したい”と望む場合は、その意向を主治医に伝える。

■治療開始
治療法が決まり、自分が納得したら、主治医のもとで治療を開始する。セカンド医師の治療法を選択した場合は、主治医の了解をとって転院する。
主治医からもらっておくもの

■カルテ
■紹介状
■診療情報
セカンドオピニオン先では診察、検査を行わない。カルテ、検査データ、画像フィルムなど必要なデータを主治医に用意してもらう。