仕事ができないわけではない

 では、もっとリアルに描くとしたらどうなるのだろうか。

「ゆとり世代は、メモを取るように言われればメモを取ります。上司には逆らわないのですが、やることが終わったらさっさと帰るなど、のれんに腕押しな感じです。会社はお金を得る場と思っているので、自己実現や夢などアツい気持ちもないのです。

 ですから、『ドクターX』の米倉さんや『コード・ブルー』の山下智久さんが、“言ったことはやるんだけど、それ以上はやらないんだよな……”と嘆くような感じに描けば今の若い世代らしいんですけどね」(原田氏)

 どうも手応えのないように感じられる彼らだが、教育社会学者の福島創太氏は、ゆとり世代を仕事ができないわけではないと評している。

「この世代は学生時代に『関心・意欲・態度』が成績評価に入っていました。テストで高得点をとっても『関心・意欲・態度』が低ければ評価されないこともありました。

 自分のやりたいことや意欲を評価される時代を歩んでいるので、会社に入ってからのパフォーマンスより自分のやりたいことを重要視する人も少なくありません。そこがはまれば活躍の場もありますよ

 自分の意思を大切にするということは、短所と表裏一体でもあるそうだ。

「すでに決まっていることに対しても、“本当にそうなんですか?”“もっとこうしたほうがいいんじゃないでしょうか”と言ってしまうことが、上の世代からはへりくつに見えてしまいます。

 既存のやり方に疑問を抱くと、場合によっては作業の遅れにつながる場合もあります。ただ、“なぜそれをやるのか?”という本質的なことを考える場合にはゆとり世代は向いているように思います。

 現代はイノベーション(技術革新)や多様性が求められるので、新しいものを生み出す企画や開発に強みを発揮すると思います。またこれからはどんな仕事でもそういった素養が求められていくと思います」(福島氏)

 これからの日本を“ゆとり”ある国にできるのは、ゆとり世代なのかもしれない!