「私が駆けつけたときは、(娘の)萌さんを、救急隊が心臓マッサージをしながら救急車で搬送するところでした。
ショートカットの年配の女性がパトカーに乗せられて、泣いていました。後からニュースで事件のことを知ったときに、その人がお母さんだったんだとわかりました」
とにかく地味
と、近所の住民が目撃した事件直後の様子を明かす。2時間後、救急搬送先の病院で、無職・清水萌さん(21)の死亡が確認された。
事件発生は、2月10日午後2時ごろ。
「母親が、110番通報ではなく報道機関に電話をかけて“子どもを手にかけた”と伝え、ただ事じゃないと思ったその報道機関が110番通報し、発覚しました」
と民放報道局員。
殺人未遂罪で現行犯逮捕されたのは、無職・清水悦子容疑者(63)。萌さんの母親だ。
夫婦と娘の3人で暮らしていた団地の一室で、母親はネクタイを使い、娘の首を絞めて殺そうとした。取り調べに対して清水容疑者は、殺意を認めているという。
事件現場は、JR中央線立川駅からバスで約20分の東京都住宅供給公社の住宅。全30棟895戸の、いわゆる“マンモス団地”である。高齢化が進み、ひとり暮らしの住人も多い。
70代の女性は、言い切った。
「扉を閉めちゃえば、隣の様子なんてわからないから、うちだって、隣にどんな人が住んでいるのかなんてわからないよ」
清水家の人々が、この団地に引っ越してきたのは今から6〜7年前のことだった。
同じ団地に、萌さんの中学時代の後輩が住んでいた。「私も少し知っているというくらいで、関わりはありませんが」と前置きし、その後輩は、「とにかく地味な印象。中学3年生の途中に引っ越してきて、学校には前の学校の制服で通っていました。事件の1週間くらい前に、歩いているところを見かけたけど、ベンチコートを着て、髪型はショートカットで、男の子みたいな感じでした。昔と変わらず地味だった」と明かす。
母親との関係については、
「親と言い争う声はしょっちゅう聞いていました。親子ゲンカの延長なのか、何でもめていたのかは知りませんが」
と、あまり良好な母娘の間柄ではなかったことを裏づける。