増加傾向にある孤独死は男性に多い

 ひとりで仕事に没頭しているときに、不意に訪れた死。51歳という若さで亡くなったことは、日本少額短期保険協会内 孤独死対策委員会の杉本茂也氏によると、珍しいことではないという。

孤独死は増加傾向。これからも増えていくでしょう。全体の4割は60歳以下の方なので、51歳で亡くなったのは驚くことではないんですよ」

 芸能人でも'15年に阿藤快さんが孤独死でこの世を去っている。孤独死は性別で大きな差があり、男女比はおよそ8対2という開きがある。

男性のほうが独居率が高いんです。働いていれば職場で気づくことができますが、非正規雇用の場合は発見までに時間がかかる事例は少なくありません。防ぐには、顔を合わせるとか、電話で声を聞くとか、リアルな肉声コミュニケーションを日々とっていくことが重要でしょう」(杉本氏)

 大野さんは、死後8日たってからの発見だったとされている。

「それならかなり早いほうですね。男性の平均が18日、女性が15日ですので。3日以内に発見される割合は男性が37%、女性が48%なんですが、2週間を超えていくとどんどん遅くなっていく傾向にあります」(杉本氏)

 孤独死が増えているのは間違いのない事実。著書に『男の孤独死』(ブックマン社)がある、兵庫県尼崎市の長尾クリニック・長尾和宏院長の話は衝撃的だ。

「東京都内で在宅の死亡は、6割が警察による検死なんです。つまり、半分は家族ではなく警察が看取っているということ。

 昨今はどこの警察署でも、遺体安置所に遺体が入りきらない状態です。死後時間がたつと事件性が疑われますので、大学病院で解剖される。その後で遺体が警察へ次々に運ばれてくるんです」

 多くは突然死で、隣人にも気づかれないことが多い。

毎日誰かに必ずメールをするとか鍵を管理人に預けて入れるようにするとか、とにかく誰かとつながっておくことが大切。

 孤独死を出さないための街づくりも必要で、開業医の果たす役割が大きいと思います。孤独死者をほったらかしにしているのは本人ではなく、社会のシステムですよね」(長尾院長、以下同)