今年3月21日、JR松戸駅西口のデパート『伊勢丹松戸店』(千葉県松戸市)が閉店した。国内の伊勢丹としては八王子、高崎、熊本、小倉、吉祥寺に続く閉店となる。
地方デパートが続々と消えていく
松戸店の売り上げは、ピークの1997年3月期の336億円から、昨年3月期は181億円まで落ち込み、運営する三越伊勢丹ホールディングスが撤退を決定。こうして開業から43年11か月、人口約50万人の松戸市内で唯一のデパートが姿を消した。
2月28日には、同県船橋市の『西武船橋店』も半世紀の歴史に幕を下ろした。遡れば昨年6月に『丸栄』(愛知県名古屋市)、10月には『十字屋山形店』(山形県山形市)も閉店するなど、老舗が姿を消している。
東京・大阪以外の地方都市でデパートが相次いで閉店に追い込まれているのだ。消費の低迷、ネット通販の影響に加え、デパート自身の魅力低下も大きな要因とされている。
「最大の理由は建物の老朽化です。’13 年に改正された耐震改修促進法で耐震診断されて、改修の必要があると言われたデパートが決断を迫られた結果、体力がなく閉店を選択しています」
そう語るのは、消費社会をめぐる問題に詳しい立教大学の貞包英之准教授だ。
「都市部のデパートは『GINZA SIX』に象徴されるように、テナントを誘致して生き残りを図るしかなくなってきたんです」
まさかの起死回生モデルも
しかし一方で、新たな現象も起きている。経済ジャーナリストの磯山友幸さんが、興奮冷めやらぬ表情で話してくれた。
「驚いたのは、『高島屋』の大阪店。’18年2月決算の店舗別売り上げが1414億円となり、系列トップだった東京・日本橋店に100億円近い差をつけて“1番店”になりました。66年ぶりに返り咲いたんです」
理由は明白だった。外国人観光客、いわゆる“インバウンド”の影響である。